演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

膵臓癌術後再発に対するエルロチニブ治療が原因と考えられた高血小板血症

演題番号 : P54-11

[筆頭演者]
宇和川 匡:1,2 
[共同演者]
三澤 健之:1、二川 康郎:1、永崎 栄次郎:2、荒川 泰弘:2、相羽 恵介:2、矢永 勝彦:1

1:東京慈恵会医科大学 外科、2:東京慈恵会医科大学 腫瘍・血液内科

 

【はじめに】切除不能膵臓癌に対するエルロチニブ・ゲムシタビン療法(以下E/G療法)はゲムシタビン単剤での治療における生存期間を延長したことからNCCN guideline version 2.2011において推奨(category 1)され、その後本邦においても承認された。その後本邦における市販後調査結果からさまざまな有害事象報告されたが、エルロチニブによる高血小板血症の報告は見られない。我々は、エルロチニブが原因と考えられた高血小板血症を経験したので報告する。【症例】症例1.61歳男性。膵尾部癌に対して膵体尾部切除術施行。術後補助化学療法導入前に、微小肝膿瘍と転移性肝腫瘍の鑑別が困難であった多発性の肝占拠性病変を認めたため、肝生検を施行。病理組織検査で転移性肝癌と診断されたためにE/G療法を開始。治療開始後約1か月で高血小板血症(最高値 1,012 x 109/L)を認めた。血小板減少傾向を確認後G療法に変更して治療再開。その後は高血小板血症を認めなかった。症例2.58歳男性。膵体部癌に対して膵体尾部切除術施行。術後補助化学療法は患者の希望で施行せず。術後6か月で肺・骨転移を認めたためにE/G療法施行。治療開始後約1か月で高血小板血症(最高値 988 x 109/L l)を伴う門脈血栓症を認めた。直ちに薬物治療(抗血小板剤・ワーファリン)を開始。血栓症に起因した有害事象は認めなかった。【考察】本症例に認めた高血小板血症を後ろ向きに検討したところ、脾臓摘出とエルロチニブの投与が危険因子として考えられた。一般的に脾臓摘出後の血小板数の一時的上昇は術後14日をピークとして減少に転じることが多い。本2症例はいずれも脾臓摘出による一過性の血小板増加のピーク後からの発症であり、エルロチニブの休薬後に血小板数は正常化した。メカニズムは明らかではないが、脾臓摘出後のエルロチニブ投与に起因した血小板増多症と考えた。【まとめ】脾臓摘出術後のエルロチニブによる治療においては、高血小板血症が起こりうるという認識が重要であると考えた。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:化学療法

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