演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

胃切除後に発生した膵体部癌に対し残胃温存膵体尾部切除、脾摘出を施行した2例

演題番号 : P54-10

[筆頭演者]
佐藤 大輔:1 
[共同演者]
小林 隆:2、田中 亮:1、蜂須賀 健:1、河合 幸史:1、蛭川 浩史:1、多田 哲也:1

1:立川綜合病院 外科、2:新潟大学消化器・一般外科

 

【はじめに】幽門側胃切除後の残胃の血流は主に短胃動脈からなる。膵体部癌に対する根治切除を目的とした膵体尾部切除は脾動脈を切離するため、短胃動脈の血流が無くなってしまう。胃切除後に施行される膵体尾部切除は短胃動脈からの血流が無くなるため残胃全摘を追加する必要がある。今回我々は幽門側胃切除後に発生した膵体部癌に対し残胃温存膵体尾部切除、脾摘出を施行し残胃の血流不全なく経過した症例を2例経験したため報告する。【症例1】77歳、男性。胃癌に対し幽門側胃切除、Billroth-II法再建後。貧血と、腫瘍マーカー高値の精査の結果、膵体部癌の診断となり手術の方針となった。手術はD2リンパ節郭清を伴う膵体尾部切除、脾臓摘出、腫瘍が横行結腸に浸潤しており横行結腸部分切除を行った。当初残胃全摘も行う予定であったが、残胃が小さめの為か左横隔膜下動脈からの血流のみで残胃の血流が保てていると判断し残胃温存し手術を終了した。術後経過良好で経口摂取も問題なく12病日に退院となる。【症例 2】84歳、男性。胃癌に対し幽門側胃切除、Billroth-I法再建後。逆流性食道炎に対しフォロー中に施行されたCTで肝浸潤を伴う膵体部腫瘍を指摘され、精査の結果膵体部癌の診断となり手術の方針となった。手術はD2リンパ節郭清を伴う膵体尾部切除、脾臓摘出、肝臓及び十二指腸に浸潤を認め、肝部分切除、十二指腸部分切除を施行した。残胃の血流は左横隔膜下動脈からのみで保たれていると判断したが、術中にICGを静注し蛍光法で残胃の血流が十分あることを確認し温存した。術後Grade Aの膵液瘻を認めたが、経口摂取問題なく14病日に退院となる。【まとめ】幽門側胃切除後の残胃の血流は主に短胃動脈からなる。ゆえに膵体尾部切除、脾臓摘出は残胃の血流が無くなるため残胃全摘を行う場合が多い。しかし、胃全摘を行った場合経口摂取が不安定になり術後の化学療法に支障を来すことがあるため、残胃温存可能であれば温存が望ましいと思われる。今回我々は胃切除後に発生した膵体尾部癌の2例に対し1例は蛍光ICGを用いて残胃の血流が十分あることを確認し、残胃温存膵体尾部切除を施行した。術後の経口摂取も術前と問題なく安定しており残胃温存した意義はあると思われる。化学療法を含めた集学的治療を行う上でも経口摂取が安定していることは重要であり、根治度を損なわずに施行できる残胃温存膵体尾部切除は有用と考えられる。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:手術療法

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