演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

ヘパリン起因性血小板減少症を発症したと思われる膵癌の1症例

演題番号 : P54-5

[筆頭演者]
今澤 雅子:1 

1:旭川医科大学病院

 

【はじめに】担癌患者は凝固異常を伴いやすく、血栓症を発症しやすいことが知られている。またヘパリン起因性血小板減少症(以下HIT)はヘパリン投与による免疫機構の活性化によって血小板減少が惹起される病態であり、両者の治療方針は異なっている。膵がんに合併したHITと思われる症例を経験した。【症例】66歳、男性。2011年3月に高血糖を機に膵頭部癌、転移性肝腫瘍を指摘され、5月よりGEMによる化学療法を開始したが、7月に十二指腸浸潤による消化管通過障害を発症し外科で胃空腸吻合、胆管空腸吻合術を施行した。術後は食事摂取が可能となり2nd lineとしてGEM+S-1の併用療法の導入を考えていたが、下肢静脈血栓症を発症し、ヘパリンとワーファリンによる抗凝固療法を開始した。その後は症状も落ち着いていたためGEM+S-1による化学療法を開始し、翌日にはワーファリンの治療域に達していたためヘパリンを中止した。Day4に凝固異常を伴う血小板減少を発症しワーファリンを中止、Day9には食思不振Grade3のためS-1は休薬とした。その後も血小板減少は続き、Day10にHITも考慮し抗トロンビン薬を開始した。しかし同日血栓による左中大脳動脈閉塞を発症した。血栓除去は困難であり保存的に治療を行っていたが脳梗塞発症から36日目に梗塞後脳出血を発症し44日目に永眠された。【考察】担癌患者は静脈血栓塞栓症のリスクとなり、NCCNのガイドラインでも担癌患者の下肢静脈血栓症の治療に相対的抗凝固薬の禁忌がない限りヘパリンの使用を推奨されている。HITの発症頻度はまれといわれているが、適切な診断、治療がなされない場合死亡率は5%ほどあるといわれているため、ヘパリン使用時に血小板減少を認めた際にはHITを念頭に置き精査を進める必要がある。また当科における担癌患者の血栓症の現状について評価する。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:その他

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