演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

肝細胞癌異時性肋骨転移と縦隔転移に対する1切除例

演題番号 : P53-4

[筆頭演者]
太田 徹哉:1 
[共同演者]
秋山 一郎:1、内藤 稔:1

1:国立病院機構 岡山医療センター 外科

 

肝細胞癌術後の骨転移は約4%程度にみられるが、原発巣である肝内病変をコントロールできない症例が多いため、外科的切除対象となるのは稀である。今回肝細胞癌に対する肝切除後、異時性に肋骨転移と縦隔転移をきたし、両者ともに外科的切除を施行し得た症例を経験したので報告する。【症例】54歳女性。平成20年の人間ドックにて肝S3-4に径3cm大の単発肝細胞癌を指摘され当院へ紹介。肝炎ウイルス感染の既往はなく肝機能も良好であったため、肝左葉切除術を施行(T2N0M0 stage II, 単結節型、中分化型肝細胞癌、eg, fc(+), fc-inf(+), sf(+),S0, vp0, vv0, va0, b0)。術前に10927 ng/mlまで上昇していたAFPは、術後3ヶ月目には4.5と正常化した。しかし、術後1年にてAFPが59と再び異常値となり、その半年後には282まで上昇した。この間、肝内再発を認めておらず再発巣精査のため頻回にCT撮影を行ったところ、術後1年8ヶ月経過して椎体近傍の左第10肋骨を破壊し骨外に発育する径1.3cm大の腫瘤を認めた。2ヶ月経過観察して他に再発巣はなく、AFPは15868まで上昇して腫瘤は増大傾向であったため単発の肋骨転移と診断し、初回手術後1年10ヶ月にて左第10肋骨と周囲肋間筋の合併切除を行った。その後AFPは漸減していったが、再手術後半年して再び上昇傾向となった。再度、再発巣を精査したところ、前縦隔に1cm大の腫瘤を認めた。この時点においても肝内再発や骨転移を含む他の再発巣を認めなかったため、肺転移もしくは胸膜転移を疑い初回肝切除後2年8ヶ月にて胸腔鏡下手術を行った。胸腔内に転移及び播種性病変を認めず、前縦隔において縦隔胸膜に覆われた小結節があり、胸腺と思われる周囲脂肪組織とともに切除した。病理では肋骨転移時と同様、腺腔構造を形成しながら密に増殖する細胞を認め、中分化型肝細胞癌の転移と診断された。AFPは572まで上昇していたが再々手術後3ヶ月で正常化した。全経過中、化学療法を含む集学的治療は施行しておらず、初回手術後4年半経過し無再発生存中である。【結語】(1)肝細胞癌異時性肋骨転移と縦隔転移を外科的切除し得た稀な1例を経験した。(2)肝細胞癌の遠隔転移は予後不良であるが、肝内再発がコントロールされていれば外科的切除も選択肢の一つになると思われた。

キーワード

臓器別:肝臓

手法別:手術療法

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