演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

右房浸潤を伴う肝原発神経内分泌癌の1例

演題番号 : P53-2

[筆頭演者]
岩崎 竜一朗:1 
[共同演者]
中水流 正一:1、木村 圭一:1、杉本 彩:1、日比野 賢嗣:1、坂根 貞嗣:1、田村 猛:1、岩崎 哲也:1、長谷川 裕子:1、山田 拓哉:1、榊原 裕子:1、外山 隆:1、石田 永:1、児玉 良典:2、三田 英治:1

1:独立行政法人 国立病院機構大阪医療セ 消化器内科、2:独立行政法人 国立病院機構大阪医療セ 臨床検査科

 

【はじめに】肝原発神経内分泌癌(PHNEC)は非常にまれである。今回われわれは、下大静脈から右心房への浸潤を伴うPHNECの症例を経験したので報告する。【症例】68歳、女性。2011年10月心窩部痛を主訴に近医を受診し、各種画像検査で肝S4に70mmの肝腫瘍を指摘された。肝腫瘍は下大静脈から右房内に浸潤していたが、造影所見は典型的なHCCパターンではなかった。腫瘍マーカーは、CEA 64.6 ng/ml、CA19-9 60.0 U/ml、NSE 19.1 ng/mlと高値であったが、AFPとPIVKA-IIは正常範囲内であった。また、肝炎ウイルスマーカーは、HBs抗原陰性、HBs抗体陰性、HBc抗体陰性で、HCV抗体も陰性であった。確定診断目的に肝腫瘍生検を施行され、病理組織所見で類円形から短紡錘形の小型異型細胞のシート状増殖を認めた。免疫組織染色はCD56陽性、クロモグラニンA陽性、シナプトフィジン陽性で、核分裂像数 1~2 / 10HPF、Ki-67指数 80%であったため、2010年WHO分類でNECと診断された。閉塞性黄疸に対してERBD施行後、当院での治療を希望されたため同年12月転院となった。2012年1月からエトポシド・シスプラチン併用療法(EP)を開始した。3コース後のCTでは肝原発巣の増大を認めなかったが、FDG-PETで左胃動脈幹リンパ節に異常集積があり、腫瘍マーカー(CEA、CA19-9、NSE)の上昇を認めたため、二次治療としてイリノテカン・シスプラチン併用療法(IP)に変更した。IP療法2コース終了後のCTで、右房内と下大静脈内に浸潤していた腫瘍の縮小を認めた。4コース終了時のCTで肝原発巣はわずかに増大していたが、下大静脈内に浸潤していた腫瘍はさらに縮小していた。また、FDG-PETでは左胃動脈幹リンパ節への集積が低下していた。5コース終了後のCTで肝原発巣のさらなる増大と肝内転移を認めた。シスプラチンやエピルビシンによるTAIも施行したが無効であった。その後、十二指腸浸潤による通過障害を来したため消化管ステントを留置し、BSCの方針となった。PHNECの診断から1年7ヶ月後に永眠された。【考察】切除不能NECに対する標準治療は確立されておらず、EPあるいはIPなどのシスプラチンを含む全身化学療法がみなし標準として行われている。本例は下大静脈から右心房への浸潤を伴ったPHNECであったため予後は極めて不良と考えられたが、シスプラチンを含む全身化学療法によって比較的良好な予後が得られた。

キーワード

臓器別:肝臓

手法別:化学療法

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