演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

XELOX療法中に急性肝不全に陥った進行直腸癌の1例

演題番号 : P48-24

[筆頭演者]
建持 岳史:1 
[共同演者]
鈴木 雄太:1、米田 将隆:1、伊藤 康博:2、大久保 雄介:1、江川 智久:2、森 孝之:1、長島 敦:2、牧野 博之:1、山室 渡:1

1:済生会横浜市東部病院 消化器センター 消化器内科、2:済生会横浜市東部病院 消化器センター 外科

 

【はじめに】進行結腸直腸癌に使用されるオキサリプラチンの代表的肝副作用として類洞拡張は広く知られており、切除肝組織での評価も報告されている。今回我々は、進行直腸癌に対してXELOX療法を施行中に急性肝不全に陥った1症例を経験したので報告する。【症例】症例は69歳、男性。近医にて直腸腫瘤を指摘され紹介。2011年11月に進行直腸癌、縦隔に及ぶ多発リンパ節転移と診断され、XELOX療法による全身化学療法を2012年1月に開始した。開始時、PS1、特記すべき基礎肝疾患、血液データ上の肝機能障害は認めず、腫瘍随伴症状も認めなかった。3コース施行した時点での画像評価はPR(RECIST v1.0)で血液毒性、肝機能障害も認めていなかった。4コース目開始10日後に全身倦怠感、脱力を主訴に来院され、採血生化学検査にて著名な血小板減少1.1万/μlに加え、PT 39%、AST/ALT 1588/786IU/lを認め、腹部CTにて肝腫大および中等量の腹水貯留を認め血液凝固異常を伴う急性肝障害の診断にて入院となった。入院第2病日より汎血球減少となり、血液凝固異常も悪化、第5病日より高アンモニア血症による肝性脳症を認めるようになった。腹部超音波所見では肝門部門脈の逆流と停滞を認め、腹部造影CT上、肝静脈の狭小化、門脈の造影効果不均一で急性門脈圧亢進症を伴う急性肝不全と診断した。血漿交換療法等の侵襲的治療の希望はなく、肝不全用アミノ酸製剤、ガベキサートメシル酸塩、ヘパリンナトリウムの点滴投与による保存的加療を行っていた。画像上、門脈血栓は存在するものの徐々に血液凝固異常及び血液像、全身状態の改善を認めた。第39病日に肝生検を施行し、類洞の不規則な拡張及び潰れ、類洞、門脈周囲の線維化を認め、オキサリプラチンによる急性類洞拡張とそれに伴う急性門脈圧亢進症による肝不全であったと診断した。第47病日に退院したものの、その後癌性リンパ管症にて死亡された。【考察】現在までオキサリプラチン使用後の肝切除例での術後肝不全、切除肝より見た類洞拡張の報告は散見されるものの、オキサリプラチン治療開始早期に急激に発症した肝不全の報告例は少ない。現在結腸直腸癌に対して、オキサリプラチンを含むレジメンは一般的に使用されており、稀ではあるが急速に肝機能障害が悪化、劇症化する例があることを考慮する必要があると考えられた。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:化学療法

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