演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

直腸癌化学療法中にB型肝炎の再活性化を来したと考えられた1例

演題番号 : P48-21

[筆頭演者]
小倉 芳人:1 
[共同演者]
川越 浩輔:1、辺木 文平:1、中島 三郎:1、前之原 茂穂:1、今村 也寸志:2、夏越 祥次:3

1:鹿児島厚生連病院 消化器外科、2:鹿児島厚生連病院 内科、3:鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科学

 

【はじめに】近年、悪性腫瘍に対し抗腫瘍製剤が広く使用され、大腸癌においても多種多様な生物学的製剤・分子標的薬が導入されてきた。その治療の中で、B型肝炎のウィルス(HBV)の再活性化が問題となってきている。今回我々は、大腸癌再発の化学療法中にB型肝炎の再活性化を来したと考えられた1例を経験したので報告する。【症例】72歳・男性。2003年8月直腸癌に対し直腸切断術を施行し、術後UFT+LV療法を施行した。2005年11月骨盤内に局所再発を認めFOLFOX療法・放射線療法を施行後、TS-1療法にて継続していた。その後、2008年6月直腸癌肺転移に対し右肺上葉切除術を、2009年8月には肝細胞癌に対し肝部分切除術を施行した。その際のHBs抗原は陰性であった。2011年11月には直腸癌肺転移・骨転移を認めたためFOLFOX+P-mab療法を導入した。化学療法に際しては症状緩和目的にステロイドも併用した。治療導入後の2012年3月には出血性十二指腸潰瘍をきたし、RCC-MAP12単位の輸血を施行した。2012年9月AST207・ALT173と上昇が認められ、肝庇護療法を開始した。当初輸血後の肝機能悪化を疑ったが、その後も肝機能高値が続き、HBs抗原陽性・HBc-IgM陰性・HBc抗体陽性・HBVタックマン8.5LOGcp/mlが認められたため、B型肝炎の再活性化と判断しエンテカビルを開始した。2012年12月にはAST19・ALT11と正常化し、HBVタックマン3.1LOGcp/mlの低下も認められた。B型肝炎の再燃も落ち着いたと判断し2013年2月よりFOLFOX+BEVを導入した。現在もエンテカビルを併用し、肝機能の悪化もなく化学療法を継続中である。【考察】今回、大腸癌の化学療法中に肝機能悪化症例を経験した。HBs抗原が陽性化し、HBc-IgM陰性・HBc抗体陽性より輸血後の急性肝炎ではなく、B型肝炎の再活性化によると考えられた。B型肝炎のウィルス量の低下に伴い肝機能の改善が認められ、肝炎の重症化・劇症化は来さず化学療法を継続できた。今後、化学療法導入時には、HBs抗原陰性であってもB型肝炎のスクリーニングを行い、B型肝炎の再活性化に注意していくことが重要と考えられたので報告する。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:化学療法

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