演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

潰瘍性大腸炎に対する結腸全摘後の回腸嚢へ浸潤を来たした肛門管扁平上皮癌の1例

演題番号 : P48-18

[筆頭演者]
市川 賢吾:1 
[共同演者]
高橋 孝夫:1、松橋 延壽:1、野中 健一:1、八幡 和憲:1、棚橋 利行:1、佐々木 義之:1、今井 寿:1、田中 善宏:1、奥村 直樹:1、山口 和也:1、長田 真二:1、吉田 和弘:1

1:岐阜大腫瘍外科

 

症例は32歳、男性。18歳で潰瘍性大腸炎を発症し、23歳時に劇症化したため、他院で結腸全摘術、回腸嚢直腸吻合術を施行された。その後、回腸嚢炎を来たし、30歳よりインフリキシマブの投与を開始した。32歳時に貧血を認め、下部消化管内視鏡検査を行ったところ、肛門管は硬化狭小化しており、肛門管から残存直腸、回腸嚢にかけて3型腫瘍を認め、生検の結果、扁平上皮癌と診断された。肛門管癌が回腸嚢へ浸潤したものと考えられ、精査加療目的に当科紹介となった。CT検査、MRI検査で肛門管から直腸の壁肥厚を認め、肛門括約筋への浸潤が疑われた。遠隔転移は認めなかったが、側方リンパ節への転移が疑われた。肛門管扁平上皮癌は放射線化学療法が第一選択となりつつあるが、本症例は潰瘍性大腸炎による炎症により下血が多く、放射線治療により症状が悪化する可能性が考えられたため、手術の方針となり、腹会陰式直腸切断術を施行した。病理組織診の結果、scc, pAI(外肛門括約筋), pN0 Stage2であった。術後会陰部感染を認めたが、ドレナージで軽快し、術後25病日に退院となった。潰瘍性大腸炎に対する外科治療は、大腸全摘が基本術式である。大腸全摘術の再建方法には、回腸嚢肛門管吻合術、あるいは回腸嚢肛門吻合術が選択されることが多いが、肛門機能を重視し、本症例のように結腸全摘術、回腸(嚢)直腸吻合術を施行される場合もある。その場合、残存直腸にcolitic cancerやあるいはsporadic cancerを発症した報告も稀にある。今回、若年者における潰瘍性大腸に対する結腸全摘術後9年経過後に肛門管癌を発症し、直腸および回腸嚢内に連続性に浸潤をきたしたたいへん稀な疾患を経験したので報告する。潰瘍性大腸炎患者においては、外科的治療後に残存直腸や肛門管に発癌することがあるため、サーベイランスとして下部内視鏡検査の継続は必要である。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:手術療法

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