演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

通過障害を呈する下部直腸GISTに対し化学療法後に腹腔鏡手術により安全に切除した一例

演題番号 : P48-11

[筆頭演者]
加藤 大:1 
[共同演者]
大石 正博:1、小寺 正人:1、山村 方夫:1、池田 秀明:1、水野 憲治:1、山下 裕:1

1:鳥取市立病

 

近年多くの疾患に対して腹腔鏡下手術が標準手術として確立されつつあり、下部消化管領域では特にその傾向が強い。直腸手術ではその拡大視効果により急速に広まりつつあるが、下部直腸についてはその解剖学的理由により高難易度となっている。GIST診療ガイドラインでは、『切除可能な場合は切除を第一選択とし、切除不能な場合はイマチニブによる化学療法を行い、切除可能になれば手術を考慮する。』と明記してある。手術の原則は肉眼的断端陰性の完全切除であり、偽被膜を損傷することなく外科的に安全な切除断端を確保し完全に切除することが必要である。『腹腔鏡手術の手術成績は不明であり、GISTの腫瘍性格を熟知した腹腔鏡手術に慣れた医師が行えば、5cm以下の胃および小腸のGISTは安全に切除できると推測される。画像上血流が豊富な場合、被膜が脆弱な場合、臨床的に悪性度の高い場合は、5cm以下あっても開腹術を推奨する。』とも明記してある。しかしながら、下部直腸にできたGISTに対して開腹術を選択した場合、視野展開の際腫瘍を圧迫し偽被膜を損傷する可能性が高く、腹膜播種の危険性が高くなるものと予測される。よって、下部直腸にできたGISTに対する手術の考え方としては、手術の原則を第一に考慮した手術を追求(肉眼的断端陰性の完全切除、偽被膜の無損傷、外科的に安全な切除断端を確保した完全切除)すると、腹腔鏡手術が望ましいのではないかと思われる。腹腔鏡下直腸癌はTMEを原則とする手術である。他臓器浸潤傾向の少ないGISTの場合、TMEの術式は非常に重要な要素となりうる。今回我々は、下部直腸にできた通過障害を呈するGISTに対して、腹腔鏡下に安全に完全切除しえた症例を経験したので報告する。症例は70歳台後半の女性。平成23年11月頃より排便時下血が持続するようになり近医受診。腹部エコー検査にて直腸に腫瘍を認めたため、精査加療目的に当科紹介受診となった。肛門診にて肛門縁より2cmに腫瘍下縁を触知し、精査にて直腸(Rb)GISTと診断。本人が手術を拒否したためイマチニブによる化学療法施行。GISTが著明に縮小し(RECIST;partial remission)本人が手術を希望されたため、全身麻酔下に腹腔鏡下直腸切断術(D2)施行。術後特に合併症を認めず術後経過良好であった。病理所見では免疫染色にてc-kit陽性組織はなく、complete remissionと診断された。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:内視鏡手術

前へ戻る