一般演題(示説)
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3次治療セツキシマブ単独療法増悪後、イリノテカン追加により縮小効果を得た大腸癌 演題番号 : P48-2
1:神戸市立医療センター中央市民病院 腫瘍内科、2:医療法人 神甲会 隈病院、3:神戸市立医療センター中央市民病院 外科
欧州で実施された、塩酸イリノテカン抵抗性の転移性大腸癌に対するセツキシマブ単独療法群とセツキシマブおよび塩酸イリノテカン併用療法群の無作為化第II相試験(BOND)において、併用療法群で有意に高い奏効割合(22.9 vs. 10.8%)及び無増悪生存期間の延長(1.5 vs. 4.1ヵ月)が示されたが、全生存期間では統計学的に有意な差は示されなかった(6.9ヵ月vs. 8.6ヵ月)。その理由のひとつとして、セツキシマブ単独群の約半数が、セツキシマブ単独投与時に増悪をきたした際、塩酸イリノテカンの追加併用を実施していた(クロスオーバーしていた)ことが考えられている。今回我々は3次治療としてのセツキシマブ単独療法投与時に増悪をきたしたため、塩酸イリノテカンの追加併用投与を行い、腫瘍縮小効果が得られた症例を経験したため報告する。症例は陳急性心筋梗塞に対してバイパス術の治療歴のある88歳男性。下行結腸癌に対して原発切除後、補助化学療法施行せず経過観察をされていたが、術後1.5年で多発肝転移再発を認めたためmFOLFOX6およびFOLFIRI療法を施行したが、いずれもPDであり、KRAS野生型であったため、臨床試験に登録しセツキシマブ単独療法を開始。セツキシマブ単独療法にて一時良好な腫瘍縮小効果を認めたが、治療開始後6ヶ月の時点で病状増悪を認め、全身倦怠感強く抗がん剤継続困難と判断した。2ヶ月間の休薬後、肝転移の増大を認めたが、PS良好であったためセツキシマブ/塩酸イリノテカン併用療法を施行。初回評価時のCT検査で再び良好な腫瘍縮小効果を認め、治療継続中である。本症例のように塩酸イリノテカン抵抗性の転移性大腸癌に対しては、セツキシマブ増悪後に再度塩酸イリノテカンを追加投与することにより腫瘍縮小効果を望める可能性があると考える。
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