演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

ヒト胃癌細胞株に対するフェノキサジン化合物のpHiおよびNHE1の活性への作用の検討

演題番号 : P47-6

[筆頭演者]
竹村 晃:1 
[共同演者]
片野 素信:1、長田 大志:1、田渕 崇伸:1、西田 清孝:1、中地 健:1、本橋 行:1、島崎 二郎:1、小西 栄:1、後藤 悦久:1、生方 英幸:1、田渕 崇文:1

1:東京医大 外科学第四講座

 

【背景と目的】Na+/H+ exchanger isoform 1 (NHE1)は細胞内の原形質膜に普遍的に存在し、細胞内pH(pHi)の調節に重要な役割を果たしていることが知られている。また、癌細胞のアポトーシスイベントに先行してpHiの減少がおこると推測されており、pHiの減少を誘導する薬剤は新たな抗癌剤の候補と考えられてきた。フェノキサジン化合物である2-aminophenoxazine-3-one (Phx-3)は各種の癌細胞に対して、アポトーシスを誘導し抗腫瘍効果を持つことが示されてきている。しかし、癌細胞のpHiに対する Phx-3の作用はこれまで未検討であった。今回我々はヒト胃癌細胞株を用いて、NHE1の活性とそれに関連したpHiの変化に及ぼすPhx-3の作用について検討を行った。【対象および方法】使用した細胞株は2種類のヒト胃癌細胞株で、未分化腺癌のMKN45と中分化型腺癌のMKN74である。これらの細胞株に対してPhx-3を種々の濃度で添加し,細胞生存率、細胞形態の変化、pHi、NHE1の活性などを測定した。細胞生存率はCellTiter-BlueTM Cell Viability Assayを用いた。細胞形態変化は薬剤添加24時間後の各細胞についてメイ・ギムザ染色し観察した。pHiとNHE1の活性の測定はBCECF-AMを用いたLitmanらの方法で測定した。【結果】Phx-3を添加した各細胞の細胞生存率は増殖抑制効果が認められた。Phx-3添加24時間後における細胞形態の変化では両細胞で、細胞の収縮や核の凝集が見られ、アポトーシスが引き起こされていることが示唆された。pHiとNHE1の活性の測定の結果では、Phx-3(100µM)を添加すると、1分以内にMKN45でpHiは7.45から5.8へ、MKN74では7.5から6.2へと減少した。pHiの減少は添加したPhx-3の濃度と相関がみられた。NHE1のH +放出に関与する活性は用量依存的に抑制された。とくに100µMのPhx-3の存在下でNHE1は顕著に抑制された。この結果から、MKN45細胞とMKN74細胞におけるpHiの減少はNHE1の阻害と密接に関連していることが示唆された。 【考察】以上の結果からPhx-3はヒト胃癌細胞MKN45とMKN74細胞に作用してpHiの急速かつ大幅な減少をひきおこし、それはPhx-3によるNHE1の活性抑制と強く関連することが示唆された。またPhx-3はこれらの胃癌細胞株をアポトーシスへと導き、細胞増殖抑制効果をもつことも示された。 Phx-3が胃癌の新たな化学療法剤として有用である可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:化学療法

前へ戻る