一般演題(示説)
|
||
胃癌リンパ節転移とリンパ節内のリンパ管内皮細胞の増生 演題番号 : P46-5
1:大阪市立大学大学院 腫瘍外科
【背景】癌原発巣周囲におけるリンパ管新生がリンパ節転移や予後と関係することは知られている。しかし、所属リンパ節内のリンパ管新生の意義についての報告は少ない。【目的】胃癌所属リンパ節内のリンパ管新生を定量化し、転移形成への関与について検討した。【対象と方法】リンパ管新生の定量化は2011年に当科で切除した胃癌52例により行った。リンパ節のパラフィン包埋切片を抗D2-40抗体で免疫組織染色を行い、リンパ管を同定し、LVD(lymphatic vessel density)を計算した。次に、LVDと臨床病理学的因子(組織型、pT因子、pN因子、pStage、ly因子、v因子、リンパ節転移の大きさ)との関連を検討した。さらに2006年から2007年の当科での胃癌切除症例96例につき予後とLVDとの関連を検討した。【結果】総数1596個のリンパ節を評価しリンパ管新生の定量化を行った。全体の平均LVDは4.3±2.9で中央値は3.6であった。転移リンパ節内(225個)では平均LVDが11.9±5.0で転移のないリンパ節(1371個)の3.1±1.6と比較し、有意にLVDが増加しており、腫瘍進行度とLVDは相関関係を示した。また、リンパ節を転移巣の大きさで分類したところ、転移径とLVDは正の相関を示した。転移のないリンパ節に着目すると、pN(+)症例ではpN(-)症例と比較してLVDが高値であり、リンパ節内のVEGF-CのmRNA発現量が有意に増加していた。LVDが3.6以上の高LVDグループでは3.6未満の低LVDグループと比較し有意に予後不良であった。さらに、pN0症例やStageI/II症例においても有意差は認めないが高LVDグループで予後が悪い傾向があった。しかし、リンパ節内LVDは独立した予後因子とはならなかった。【結語】胃癌リンパ節転移形成前に、所属リンパ節内のリンパ管新生は始まり、転移形成後にさらに増加して癌進展に寄与する。リンパ管新生の増加は、比較的早期の胃癌患者においても予後不良因子となりうることが示唆された。
|
||
|