演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

消化器癌におけるmicroRNAを介したCD44発現制御の解明

演題番号 : P46-1

[筆頭演者]
石本 崇胤:1 
[共同演者]
渡邊 雅之:1、辛島 龍一:1、今村 裕:1、岩上 志朗:1、馬場 祥史:1、坂本 快郎:1、宮本 裕士:1、吉田 直矢:1、馬場 秀夫:1

1:熊本大学 消化器外科学

 

【背景】近年、我々は消化器癌細胞において癌幹細胞マーカーCD44バリアントアイソフォーム(CD44v)とシスチンのトランスポーターxCTが協調的に働くことで活性酸素種(reactive oxygen species: ROS)を介した癌抑制シグナルからの回避機構を有することを明らかにした。一方で癌幹細胞の特性を維持する機構の一つとしてmicroRNAを介した遺伝子発現制御機構が存在する事が知られるようになったが、詳細なメカニズムについては不明である。【目的と方法】今回、我々は癌幹細胞マーカーCD44の発現制御機構を明らかにするために、消化器癌細胞株および消化器癌術後検体を用いてmiRNA PCR Array解析ならびに注目したmiRNAについて機能解析をおこなった。【結果】消化器癌細胞株においてCD44発現とmicroRNA発現についてスクリーニングをおこなった結果、miR-328とCD44発現に有意な逆相関性を認めた。消化器癌術後検体による解析でも両者には有意な逆相関性を認めていた。つぎに、CD44高発現の消化器癌細胞株にmiR-328を強制発現すると、CD44発現が抑制され細胞増殖が抑制される事が明らかになった。次にmiR-328の発現制御機構について消化器癌細胞株と活性化マクロファージの共培養による解析をおこなった結果、マクロファージからのROSによりmiR-328の発現が抑制され、結果的にCD44発現が誘導されることが分かった。免疫組織化学染色による解析においても、腫瘍間質内へのマクロファージ浸潤の程度と消化器癌細胞におけるmiR-328の発現低下には有意な相関関係を認めていた。更に、miR-328安定高発現株を作成しxenograft modelを用いて腫瘍形成能を評価した結果、CD44発現低下に伴い有意に腫瘍形成が抑制されることが明らかになった。【結語】これらの結果から、消化器癌において腫瘍間質内マクロファージからのパラクラインシグナルによりmicroRNAを介してCD44発現が誘導され、癌幹細胞としての性質獲得や維持に働いていることが明らかになった。このメカニズムは酸化ストレス抵抗性を有する癌幹細胞の増加ならびに腫瘍進展に寄与していると示唆される。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:基礎腫瘍学

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