演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

孤在性線維性腫瘍との鑑別が困難であった胃GISTの一例

演題番号 : P45-11

[筆頭演者]
岡田 智美:1 
[共同演者]
山田 知弘:1、廣田 政志:1、松井 隆則:1、藤光 康信:1、小島 宏:1

1:愛知県がんセ愛知病院消化器外科

 

【症例】69歳女性。【現病歴】6ヶ月前からの食欲不振と6ヶ月で12kgの体重減少、右上腹部の腫瘤触知を主訴に当院へ紹介された。【既往歴】41歳時に子宮筋腫にて子宮と卵巣を摘出。【検査所見】CTにて肝下面と横行結腸の間に直径150mm大の境界明瞭で内部が不均一に造影される腫瘤を認めた。明らかな遠隔転移やリンパ節腫大を認めず。腹水を認めず。MRIにて同腫瘤はT2強調像で内部不均一に高低信号が混在し、全体が充実性で多巣状に液体成分が散在した像であった。血液検査ではWBC 17220/mm3、Hb 9.7 mg/dl、血小板 79.8万/mm3、アルカリホスファターゼ 818 IU/l、CRP 13.98 mg/dlと異常を呈していた。上部消化管内視鏡検査では胃体下部に圧排像を認めたが粘膜面の病変は認めず。以上より高リスク胃GISTを疑い手術適応と診断した。【手術・経過】開腹すると胃小弯側の漿膜下に腹腔内に突出する直径15cm大の腫瘍を認め、その腫瘍を取るように胃部分切除術を行った。術後の経過は良好で術後10日で退院された。高リスクのため術後補助化学療法を検討したが、imatinib投与は後述の遺伝子検査結果をふまえ見合わせられた。術後約10か月経過時点で再発を認めていない。【病理結果】短紡錘形細胞が密な膠原繊維束を伴いびまん性に増殖しておりGISTを第一に考える像であったがCD117(c-kit)は陰性、CD34(+)、S100b(-)、actin(-)、CK OSCAR(-)、KI-67:10%。核分裂像は17/50HPFsと多数であった。C-KIT遺伝子とPDGFRa遺伝子に変異は認められなかった。【考察】GISTのうちC-KIT遺伝子およびPDGFRa遺伝子に変異が検出されないものはまれであり孤在性線維性腫瘍との鑑別が問題となるが、胃原発の孤在性線維性腫瘍は稀で、悪性のものも稀であることからc-kit陰性の広義のGISTと診断した。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:病理

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