演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

手術後の化学療法により長期生存中の腹膜転移を伴う胃癌の1例

演題番号 : P45-5

[筆頭演者]
安藤 善郎:1 
[共同演者]
猪川 弘嗣:1、林 雅造:1、佐藤 友信:2、山之口 賢:3

1:神戸逓信病院 外科、2:生駒病院、3:兵庫県立尼崎病院 外科

 

【はじめに】腹膜転移のある胃癌の予後は極めて不良であり,化学療法を始めとする標準的な治療法が未だに確立されていないのが現状である.今回我々は,腹膜転移を有する進行胃癌に対して胃切除術を施行し,その後の化学療法により無増悪長期生存中の稀な症例を経験したので報告する.【症例】34歳,女性.家族歴:父胃癌,祖父胃癌.現病歴:2007年3月心窩部痛にて発症,同年8月当院初診,精査にて上中部の進行胃癌と診断した.術前の検査では遠隔転移はなく,同年9月根治を目的に手術を施行した.手術:胃全摘術(D2),脾摘,胆嚢摘出術,広範な腹膜播種性転移の所見があり,一部転移結節による腸管浸潤のため横行結腸部分切除をも施行した.腫瘍の遺残はR2(癌の肉眼的遺残(腹膜転移)あり).術後診断:UML, Less, type4, 150x100mm, por2, ly2, v1, pT4a(SE), pN2(5/12), M1(腹膜P1).小腸間膜に多数の粟粒大の結節があり,病理組織学的にも腹膜転移と診断された.延命を目的に術後化学療法を施行した.化学療法:TS-1+Paclitaxel(アレルギーのため途中で中止),TS-1+CPT-11,TS-1+CDDP,TS-1+Docetaxel,TS-1+CPT-11の順に2011年8月まで術後4年間施行し,その後は1年間TS-1のみの治療を行った.治療全経過中の腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)は術前・術後とも正常範囲内を推移し,また定期的な画像検査上は明らかな再燃・再発の所見は認めていない.術後5年経過後はmedication freeとした.【考察】1) 本症例は,術後当初より画像検査上は標的病変が描出されない状況であり,また腫瘍マーカーも正常範囲内を推移していたため,化学療法各レジメンの継続期間に関して苦慮した.有害事象の発現、家庭事情の配慮および胃癌化学療法の時代的変遷に相応したレジメン選択により、TS-1をbaseとして併用療法を順次変更するsequentialな化学療法を術後4年間遂行できた.2) 今現在,disease freeなのかどうかは不明である.一般的に,このような症例に対していつまで化学療法を継続すべきかの判断は難しい.3) 今後,再発・再燃した場合の治療法をどうすべきか.再度TS-1 baseの多剤併用療法(どれを選択すべきかも問題である),または分子標的治療薬の適応も検討すべきと思われる.【結語】腹膜転移を有する進行胃癌に対して手術を施行し,その後再発・再燃の兆候が無く,5年以上長期生存中の症例を経験した.今後も,引き続き厳重なfollow-upが必要である.

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:化学療法

前へ戻る