演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

S-1による術後補助化学療法早期の重篤な副作用でDPD活性低下を疑った胃癌の一例

演題番号 : P45-1

[筆頭演者]
山下 啓史:1 
[共同演者]
八田 朋子:1、小田 慶太郎:1、池田 廉:1、浅野 聡:1、紫藤 和久:1、藤野 幸夫:1、望月 智行:1

1:川越胃腸病院

 

【はじめに】胃癌術後補助化学療法としてS-1は本邦で標準治療として汎用されている。S-1の成分であるgimeracil (CDHP) によるdihydropyrimidine dehydrogenase (DPD) 阻害で5-FUによる抗腫瘍効果が増強する一方、腎機能障害例ではCDHP排泄遅延による副作用の増強が懸念される。また稀ではあるがDPD活性低下もしくは欠損症による重篤な副作用例が報告されている。今回S-1開始前の腎機能は保たれていたが、投与早期に重篤な副作用を発現しDPD活性低下を疑ったが、結果的には証明されなかった一例を報告する。【症例】特記すべき既往歴のない74歳女性、胃癌の診断で2012年3月幽門側胃切除術(D2郭清)を施行。術後病期IIB(por/sig, pT1bN3b)で、約1か月後よりS-1 100mg/日による補助化学療法を開始(PS0, 体表面積1.34m2, クレアチニンクレアランス55.7ml/min)。4日目より口内炎と皮疹出現し経口摂取不良となり14日目よりS-1中止も、発熱性好中球減少で16日目に入院。敗血症性ショック・DIC併発も、何とか支持療法にて回復。しかし口腔から大腸まで至る広範で重度の粘膜障害により、消化管出血・下痢・吸収不良・低蛋白血症などの消化管機能不全症状が遷延し退院まで2か月超要し、退院後も栄養不良と低蛋白血症による浮腫がさらに数か月改善しなかった。退院後に測定した尿中のuracil 75.8(μmol/g·cre), dihydrouracil 25.7(μmol/g·cre), DHU/U比 0.34で、DPD活性低下は示唆されなかった。現在術後1年1か月無再発生存中である。【考察】本症例は、重度の粘膜障害と骨髄抑制から5-FUの血中濃度が上昇していたことが予想され、その明らかな原因は不明も、高齢で腎機能に関連したCDHPの排泄遅延や、DPD部分欠損型である可能性は否定できない。重篤な有害事象例は、今までの報告では投与開始1-2週間以内に発現しており、早期の中止または減量などの対応が必要である。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:化学療法

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