演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

食道癌、肺癌、胃癌、咽頭癌の同時性4重複癌の1例

演題番号 : P44-9

[筆頭演者]
矢澤 貴:1 
[共同演者]
大木 進司:1、星 信大:1、渡辺 洋平:1、門馬 智之:1、鈴木 聡:1、隈本 謙介:1、中村 泉:1、竹之下 誠一:1

1:福島県立医科大 器官制御外科

 

【はじめに】近年、悪性腫瘍の診断能力の向上と高齢化社会により、重複癌を経験する機会が増加している。しかし同時性4重複癌の報告例は比較的少なく稀であると言える。今回我々は、食道癌の術前精査中に肺癌、胃癌、下咽頭癌と診断された4重複癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。【症例】症例は70歳代男性。2010年10月に胸焼け、嚥下時の違和感を主訴に前医を受診した。EGDを施行され、Iu-Imに0-2c病変を認め、生検でSCCの診断であった。術前精査を進めたところ、胃角部小弯に0-2c病変認め、生検にて胃癌と診断された。さらに胸部CTでは右肺下葉S10に20mm大の腫瘤および肺門リンパ節腫大を認め、腺癌の診断であった。食道癌Stage1、胃癌Stage1、肺癌Stage2A以上の診断となった。肺癌、食道癌の同時切除も考慮したが、食道癌に対しては放射線化学療法による治療を希望されたため、まずは肺癌の治療を優先する方針とした。2011年1月肺癌に対し右下葉切除術施行(T1b, N2, M0, Stage3A)。その後、食道癌に対し根治的放射線化学療法(5FU+CDDP, total 60Gy/30回)施行。フォローアップ内視鏡では食道病変についてはCRであった。この際に左下咽頭に隆起性病変を認め、生検でSCCの診断となった。胃病変はESD適応外であったが、術後の体力低下による放射線治療導入の遅れ等を考慮して、下咽頭癌に対する放射線化学療法(TS-1, total60Gy)を先行させ、CRを得た。2011年11月胃癌に対し幽門側胃切除術を施行(T2, N2, M0, Stage2B)。肺癌手術からは1年経過経過しており、TS-1を用いた術後補助化学療法を施行した。以後現在のところいずれの癌も再発兆候を認めずフォロー中である。(まとめ)本症例は食道癌、胃癌、肺癌がほぼ同時に発見され、その加療経過中に6ヶ月以内に下咽頭癌が診断されたため同時性4重複癌と診断した。本症例では、手術及び放射線化学療法を組み合わせることで、結果的にQOLを低下させることなく根治が得られた。重複癌の治療はそれぞれの癌腫の標準治療を組み合わせることが原則であるが、それぞれの癌の進行度や部位、予後に加え、患者の年齢、全身状態、QOL等を考慮して治療方針を決定することが重要である。

キーワード

臓器別:食道

手法別:集学的治療

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