演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

TS-1+CDDPによる術前化学療法が奏効したBarrett食道腺癌の1例

演題番号 : P44-5

[筆頭演者]
鈴木 一則:1 
[共同演者]
谷口 健次郎:1、大呂 昭太郎:1、皆木 真一:1、竹内 勤:1

1:鳥取生協病院 外科

 

近年本邦においてBarrett食道腺癌は増加傾向にある。深達度T1aではEMR、ESDによる内視鏡的治療が選択される場合があり、T1b以深では外科的切除が標準治療となるが、症例数が少ないため化学療法の有用性について一定の見解がない。低肺機能のために一次治療として開胸を伴う手術を選択できず、TS-1+CDDP療法による化学療法を行ったところ著効が得られ、より侵襲の少ない開腹術にて根治切除でき、治療後に再発なく良好な経過を辿っているBarrett食道腺癌の1例を経験したので報告する。患者は72歳、男性。既往歴に特記事項なし。生活歴として喫煙20本/日X50年間あり、飲酒歴なし。自覚症状はなかったが、2009年2月に胃がん検診上部消化管造影検査を受けたところ、噴門部に陰影欠損を指摘され要精査となった。同年3月に当院で上部消化管内視鏡検査を行い、食道胃接合部に約3cm大の隆起性病変を認めた。精査の結果、SSBEに発生した深達度T2のBarrett食道腺癌(cT2N0M0、cStage II)と診断した。根治手術として左開胸開腹による下部食道・噴門側胃切除を検討したが、COPDによる閉塞性換気障害のためリスクが高いと判断し、一次治療として化学療法を選択した。胃癌に準じてTS-1+CDDP療法を開始した。同療法3コース終了時点で内視鏡所見上肉眼的にCRとなったが、生検組織診では癌細胞を認めた。腫瘍の著明な縮小が得られたため、経腹的アプローチのみで根治切除可能と判断し、同年9月に開腹下部食道・噴門側胃切除術を施行した。術後合併症なし。手術後の最終評価は、AeE、2mm、type 0-IIc、well differentiated adenocarcinoma、pT1a、ly0、v0、pIM0、pPM0、pDM0、pRM0、CT-Grade 2、pN0、sM0、fStage 0、D1、pR0、fCur A。術後3年8か月経過した現在、再発兆候なく経過順調である。cStage II、III胸部食道扁平上皮癌に対する術前化学療法(5FU+CDDP)の有用性が確認されているが(JCOG9907試験)、Barrett食道腺癌に対する術前化学療法の有用性は不明である。同じ腺癌である進行再発胃癌の標準的化学療法はTS-1+CDDPであり(SPIRITS試験)、TS-1+CDDPが胃癌術前化学療法の有望なレジメンであることからTS-1+CDDPを用いたところ、著効が得られた。結果的に術前化学療法となり、より侵襲の少ない開胸を伴わない経腹的アプローチによる根治手術を施行し得た。TS-1+CDDPによる術前化学療法は、進行したBarrett食道腺癌に対する治療戦略の1つになり得ると考えられた。

キーワード

臓器別:食道

手法別:化学療法

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