演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

緩和的化学放射線療法中に突然死をきたした食道癌の一剖検例

演題番号 : P44-2

[筆頭演者]
小野寺 馨:1 
[共同演者]
星 暢夫:2、川上 賢太郎:1、行澤 斉悟:1、割田 悦子:1、山中 康弘:1、星 サユリ:2、平林 かおる:2、五十嵐 誠治:2

1:栃木県立がんセンター 腫瘍内科、2:栃木県立がんセンター 病理診断科

 

緩和的化学放射線療法中に突然死をきたした食道癌の一剖検例を経験したので報告する.【症例】65歳,男性.【合併症】高血圧.【臨床経過】2012年6月,食べ物のつかえを主訴に近医を受診,食道腫瘍を指摘され当院紹介となった.上部消化管内視鏡検査にて胸部中部食道の左側前壁を主座とする2型腫瘍を認め,組織生検にて扁平上皮癌と診断された.CT検査にて原発巣は胸部中部食道の全周性壁肥厚像として認め,心膜・左主気管支・左肺静脈への浸潤が疑われた.縦隔・腹部・傍大動脈リンパ節転移を認めた.胸部中部食道癌,cT4bN3M1,IV期(UICC第7版)と診断,緩和的化学放射線療法の方針となった.化学療法:5-FU 700mg/m2/day, day 1-4・day 29-32,CDDP 70mg/m2/day, day 1・29および放射線療法(原発巣のみ):50Gy/25Frを行い,原発巣・転移巣の縮小を認めたため化学療法をさらに2コース(day 65-,day 94-)施行した.day 106に上部消化管内視鏡検査のため来院したところ38℃台の発熱を認めたため血液検査・胸部X線検査を行ったが特記すべき異常なし.上部消化管内視鏡検査では潰瘍の増悪を認めるものの瘻孔や出血は認めず,後日CT検査を予定とし帰宅とした.しかしday 108に自宅で突然死をきたし,ご遺族の同意のもと死因究明のため病理解剖を行った.【病理解剖所見】肉眼的所見では胸部中部食道に2型腫瘍を認め,潰瘍底は壊死に陥って出血を生じ,胃・十二指腸内には大量の血液・凝血塊を認めた.縦隔・腹部・傍大動脈リンパ節転移を認め,両側腎臓・右副腎にも転移を認めた.心臓には原発巣から心膜・左心房への腫瘍の浸潤を認めた他,前壁中隔・心内膜下に赤色調の変性部位を認めた.組織学的所見では原発巣には線維化や壊死を認め,UI-IVの潰瘍を形成し,消化管内腔への出血を生じていた.またviableな扁平上皮癌の増殖を認めた.心臓には前壁中隔・心内膜下に好中球浸潤の目立つ急性心筋梗塞の像を認め,同部の冠動脈内にはフィブリン血栓が存在した.【考察】化学放射線療法により腫瘍壊死をきたしたことが主因で原発巣からの大量出血を起こし,低容量性ショックから相対的冠血流量低下をきたしたこと,冠動脈内にフィブリン血栓が形成されたことから急性心筋梗塞を発症し,死に至ったと考えられた.

キーワード

臓器別:食道

手法別:化学療法

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