演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

腋窩リンパ節郭清時における肋間上腕神経の温存は本当に意味のある手術手技か?

演題番号 : P4-13

[筆頭演者]
伊藤 勅子:1 
[共同演者]
新宮 聖士:1

1:飯田市立病院 乳腺内分泌外科

 

【諸言】日本乳癌学会乳癌診療ガイドラインによると『腋窩・上腕内側の感覚障害を軽減させるために肋間上腕神経を温存することは勧められるか』というCQに対しては推奨グレードC1(十分な科学的根拠はないが、細心の注意のもと行うことを考慮してもよい)とされている。術前検査で腋窩リンパ節転移陰性の可能性が高い場合、センチネルリンパ生検を施行することが現在の標準術式であり、術後に患側上肢の感覚障害をきたす症例は少なくなっていると考えられる。一方、腋窩リンパ節郭清施行時における肋間上腕神経の温存は手技がやや煩雑で、肝心の郭清が不完全になることもあり、術者にとってはストレスのかかる手術手技である。今回腋窩リンパ節郭清時における肋間上腕神経温存の必要性について自験例をもとに検討した。【対象と方法】2005年1月~2012年12月までの8年間に当科で施行した乳癌手術症例549例中、腋窩リンパ節郭清を施行した226例(41.3%)を対象として、肋間上腕神経温存の有無とその後の感覚障害発現の有無について診療録をもとにretrospectiveに検討した。【結果】平均年齢58歳±13.5歳(中央値56歳)。神経切断:51例(22.6%)、神経温存:124例(54.9%)、不明51例(22.6%)。神経切断51例中、術後1年目までに何らかの症状の発現あり:3例(5.9%)、3年目までに症状の発現あり:4例(7.8%)。そのうち、症状が持続していた症例は1例(2.0%)のみであった。神経温存124例中、術後1年目までに症状の発現あり:18例(14.5%)、3年目までに症状の発現あり:28例(22.6%)、症状の持続あり:13例(10.5%)。不明51例中、術後1年目までに症状の発現あり10例(19.6%)、3年目までに症状の発現あり:9例(17.6%)。年齢別の検討では、神経温存の有無に関わらず症状が発現した割合は、35歳以下1例/ 7例(14.2%)、36-45歳12例/ 39例(30.8%)、46-55歳 13例/ 64例(20.3%)、56-65歳 9例/ 45例(20%)、66-75歳 8例/ 44例(18.2%), 75歳以上7例/ 27例(25.9%)であった。【考察】今回の検討では腋窩リンパ節郭清時に肋間上腕神経を温存することの有用性は確認できなかった。また、年齢による症状発現率の違いも認められなかった。今回の検討は診療録によるretrospective studyであり、エビデンス・レベルとしては低いことは否めないが、複数個の腋窩リンパ節転移を認める症例に対する腋窩郭清時に、郭清手技の妨げになる肋間上腕神経を敢えて温存する必要はないと思われる。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:手術療法

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