演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

遺伝相談外来の情報提供が乳癌患者の行動に与える影響とその要因に関する探索的研究

演題番号 : P4-8

[筆頭演者]
田辺 記子:1 
[共同演者]
清水 千佳子:2、坂東 裕子:3、佐藤 豊実:4、有田 悦子:1、藤原 康弘:2

1:北里大 薬学部 薬学教育研究セ 医療心理学部門、2:国立がん研究セ 中央病 乳腺・腫瘍内科、3:筑波大 医学医療系 乳腺甲状腺内分泌外科、4:筑波大 医学医療系 産科婦人科学

 

目的:遺伝相談外来に関する情報提供を受けた乳がん患者における遺伝相談外来受診行動に関連する要因の検討、および家系内情報共有やリスク低減治療に対する考えの実態調査を行うことを目的とした。
方法:2012年12月から2013年3月に国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科を受診し、研究参加に書面にて同意した乳がん患者を対象とした。研究参加者は、医療者から遺伝相談外来の紹介を受けてから一定期間(1名を除き6か月以上)が経過した22名であり、インタビュー調査および診療録調査を実施した。また、本研究は国立がん研究センター研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。
結果:患者への遺伝相談外来紹介事由は「本人の乳がん若年(40歳以下)発症(11名)」「近親血縁者における2名以上のHBOC関連がん家族歴(6名)」「本人希望(4名)」等であった。本研究参加者22名のうち、遺伝相談外来を受診した患者は9名(全員が遺伝子検査未実施)、受診していない患者は13名であった。遺伝相談外来受診行動の有無が、婚姻歴の有無、学歴(大卒以上)、再発転移の有無、患者の家族歴(第二度近親内)、子どもの有無、女児の有無の各要因と関連があるかどうかについてFisherの直接確率検定を行ったところ、どの要因も有意な関連は見られなかった(χ2(1)<1.316, ns)。質的データの分析から、遺伝相談外来受診行動を起こす理由として「娘の受診希望」「遺伝への興味・意識の強さ」「子どものため」「医療者の勧め」が挙げられ、未受診の理由としては「自分には無関係という認識」「治療中のためそちらで手一杯」などが挙げられた。紹介をきっかけとして家系内や家族内で遺伝に関する話をしたかどうかについては、多くの患者が「した」と話していたが、疎遠な家系内成員への情報提供はなされていないことが多かった。リスク低減両側卵巣卵管切除(RRSO)、リスク低減乳房切除(RRM)、タモキシフェンによる化学予防に関しては、消極的な考えを持つ患者が多かった。
まとめ:遺伝相談外来受診行動には、遺伝に関する興味といった個人の意識とともに、周囲の意識(家族等)が影響していたが、本研究参加者において家族歴や子どもの有無といった要因の影響はなかった。また遺伝相談外来の紹介は、患者の遺伝に関する認知に影響を与える可能性が示唆された。今後、詳細な質的データ検討から、患者の行動変容に影響を与える要因について明らかとしていきたい。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:QOL

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