演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

臨床所見から検討した耳下腺癌予防郭清の適応

演題番号 : P38-6

[筆頭演者]
丸尾 貴志:1 
[共同演者]
藤本 保志:1、平松 真理子:1、鈴木 淳志:1、西尾 直樹:1、小出 悠介:1、下野 真理子:1、中島 務:1

1:名古屋大 耳鼻咽喉科

 

耳下腺癌は頭頸部癌のうちで約2%を占めるまれな腫瘍で、頸部リンパ節転移は主要な予後因子となっている。当院では、耳下腺悪性腫瘍に対して全例耳下腺全摘・頸部郭清を行っている。顔面神経は腫瘍浸潤がなければ可能な限り温存している。 耳下腺腫瘍は術前に組織型を確定する事が困難で、時に治療方針の決定に難渋する。特にT1-3N0で、悪性度が明確でない際の予防郭清の要否に関しては、議論の分かれるところである。NCCNのガイドラインでは臨床所見が重要視されており、術前のステージングに臨床所見を加えて評価することで、潜在的なリンパ節転移を予測し、術前に予防的頚部郭清の要否を決定できるか検討を行った。また、当院で行ってきた顔面神経の取り扱いについても検討したので、あわせて報告する。 2003年〜2013年の間に当院にて手術された耳下腺癌症例41例が対象となった。平均年齢は62歳(11歳〜89歳)。TNM分類では、T1が9例、T2が7例、T3が6例、T4が18例あった。N分類ではN0が30例、N1以上が11例あった。悪性を疑わせる臨床所見である可動性不良、疼痛はそれぞれ31例、16例に見られた。 全例、初期治療が手術治療で、全例に耳下腺全摘が行われ、予防郭清は27例に行われた。  T1-3 N0症例は21例あり、そのうち術前に痛みがあった症例は7例、また術前に可動性不良を認めた症例は13例だった。 痛みのあるT1-3 N0症例のうち、術後病理で頸部転移を認めた症例は3例あった。痛みの無いT1-3 N0症例のうち、術後病理で頸部転移を認めた症例はなかった。痛みは頸部転移と明らかな相関を認めた。(P<0.05) 可動性不良のT1-3 N0症例のうち、術後病理で頸部転移を認めた症例は3例あった。可動性良好なT1-3 N0症例のうち、術後病理で頸部転移を認めた症例はなかった。腫瘍の可動性は頸部転移と明らかな相関を認めなかった(P=0.16) 顔面神経を温存できた症例は22例あり、局所再発を認めたものはなかった。 今回の検討より、痛みの無いT1-3 N0症例において有意に頸部転移を認めなかった。痛みの無いT1-3 N0症例では予防郭清を省略できる可能性があった。腫瘍の可動性に関しては、頸部転移と明らかな相関を認めなかった。また、顔面神経の取り扱いに関して、明らかな腫瘍浸潤がなければ可能な限り顔面神経は温存できると考えられた。

キーワード

臓器別:頭頸部

手法別:手術療法

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