演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

頭頸部癌の放射線療法による口腔乾燥症状に対する鍼治療の安全性と効果の検討

演題番号 : P37-5

[筆頭演者]
蘆原 恵子:1 
[共同演者]
福田 文彦:2、田口 敬太:1、石崎 直人:2、伊藤 和憲:2、松本 めぐみ:3、林 紀行:3、前田 和久:3、山本 佳史:4、猪原 秀典:4、伊藤 壽記:3

1:明治東洋医学院専門学校 、2:明治国際医療大学、3:大阪大学大学院生体機能補完医学講座、4:大阪大学大学院耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座

 

【背景】頭頸部癌に対する放射線療法(RT)に伴う唾液分泌障害は、口腔乾燥症状などの原因となり患者のQOLを低下させるが、有効な治療方法はない。RTによる口腔乾燥症状に対する鍼治療は、本邦での報告は無く治療部位や方法は一定していない。【目的】頭頸部癌へのRTによる口腔乾燥症状に対する鍼治療の安全性および口腔乾燥症状への効果について検討した。【方法】頭頸部癌患者でRTによって口腔乾燥症状が出現した男性5名(71.2±2.9歳)を対象とした。癌の部位は、上咽頭(1例)、中咽頭(2例)、喉頭(2例)、放射線量は64–70Gy、鍼治療の開始はRT後13–43か月であった。鍼治療は週2回で12回、治療部位は顔面部の経穴(下関、翳風、大迎、頬車、天容)に置鍼及び低周波鍼通電治療(2Hz、15分間)を行った。評価は自覚症状(口渇、咀嚼、嚥下、味覚)をVisual Analog Scale(VAS)、QOL評価をXerostomia Inventory(XI)、Quality of Life Radiation Therapy Instrument 日本語版頭頸部用(QOL-RTI)を用いた。唾液量の測定はサクソンテストを行った。【結果】鍼治療による有害事象は認められなかった。自覚症状(VAS):口渇は60.8±20.7mmから41.3±29mm(p=0.06)、咀嚼は70.2±28.6mmから33.0±28.0mm(p=0.04)、嚥下は56.0±29.3mmから37.0±30.9mm(p=0.50)、味覚は22.7±27.9mmから15.2±11.5mm(p=0.89)、QOL:XIは35.3±8.5点から31.8±5.5点(p=0.04)、QOL-RTIは234.8±46.1点から261.8±37.6点(p=0.08)、唾液量は1.25±0.44gから1.60±0.78g(p=0.04)であった〈考察・まとめ〉鍼治療による有害事象はなく、RT後の患者に対する顔面部への鍼治療の安全性が確認できた。鍼治療の介入により自覚症状(VAS)の口渇、咀嚼、QOL評価のXIは有意に改善し、唾液量が0.35g増加した。このことは、鍼治療により顔面部及び唾液腺に対して血流が増加するなどの作用が生じた結果と考える。以上のことから、RTによる口腔乾燥症状に対する鍼治療は、安全で自覚的症状を改善する可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:口腔

手法別:その他

前へ戻る