演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

口腔がん化学放射線療法による口腔粘膜炎に対する半夏瀉心湯局所塗布の探索的検討

演題番号 : P37-1

[筆頭演者]
能崎 晋一:1 
[共同演者]
吉澤 邦夫:2、川尻 秀一:2

1:独立行政法人国立病院機構金沢医療セ歯科口腔外科、2:金沢大院医学系研究科がん医科学専攻がん細胞学講座細胞浸潤学分野(歯科口腔外科)

 

【緒言】抗がん剤投与後に発生する副作用のひとつである口腔粘膜炎は、抗がん剤の種類により様々であるが、約30-40%と比較的高い有害事象である。また、頭頸部領域においては、放射線療法も併用されることが多く、口腔粘膜炎が摂食の妨げとなり、がん治療の中断になることもある。がん治療の有害事象である口腔粘膜炎に対する確立した治療はなく、症状にあわせた対症療法が主であるが、半夏瀉心湯を用いた含嗽療法が報告されている。このことから、口腔粘膜炎に対する半夏瀉心湯の直接効果が予想され、その濃度を高めた局所塗布療法を施行することで更なる効果が期待できると考えられる。今回、われわれは口腔がん加療に伴う口腔粘膜炎に対する半夏瀉心湯局所塗布の有効性ならびに安全性に関して探索的に検討したので報告する。【基礎的検討】半夏瀉心湯の口腔がんに対する直接的影響を検討する目的で、口腔扁平上皮癌細胞株に対する半夏瀉心湯の感受性試験をMTS assayを用いて行った。【臨床的検討】口腔がんに対する加療にて口腔粘膜炎が発症し、口腔ケア、キシロカイン含有含嗽液での含嗽、ならびに軟膏塗布による効果が認められない患者を対象とした。被験薬1包(2.5 g)を包装内で手指を使い、細かくした後、約2.5 mLの水道水と混和したものを1回分とし、綿棒にて患部に塗布した。【結果】口腔扁平上皮癌細胞株に対する半夏瀉心湯の殺細胞効果は、シスプラチンの0.1%以下であったが、いずれの細胞株でも増殖効果は認められなかった。また、これまで通法として行われてきた口腔粘膜炎に対する治療においても、摂食痛ならびに食事摂取量が減少した患者に半夏瀉心湯を塗布したところ、塗布数分で疼痛が減少し、6-12時間の除痛が継続していた。また、食事摂取量も塗布翌日から増加し、その後減少することなく、化学放射線療法が継続できた。一方で、塗布直後の疼痛以外、中等度以上の有害事象ならびに血液検査の異常は認められなかった。【結論】口腔がん治療による口腔粘膜炎に対する半夏瀉心湯の局所塗布療法は、がん細胞を増殖させることなく、口腔粘膜炎に対する除痛効果も期待でき、患者のQOL向上に繋がる有効な方法であると考えられた。

キーワード

臓器別:口腔

手法別:支持療法

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