演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

末梢血循環腫瘍細胞にてMDR-1高発現を示し化学療法に抵抗性であった原発不明癌の一例

演題番号 : P35-5

[筆頭演者]
菅谷 明徳:1 
[共同演者]
遠藤 慎治:1、山田 武史:1、山本 祥之:1、森脇 俊和:1、安部井 誠人:1、兵頭 一之介:1

1:筑波大学 消化器内科

 

症例は,45歳男性。腰痛と下肢温痛覚障害を自覚し,近医を受診。転移性骨腫瘍,肝腫瘍と診断され,当院へ紹介となった。全身造影CTでは溶血性・骨硬化性の多発骨転移,多発性肝・肺転移,筋肉転移,頚胸腹部多発リンパ節転移,胸膜播種が認められた。肝腫瘍生検の結果,tubular adenocarcinomaと診断され,免疫染色ではCK7(+),CK20(一部+),CDX2(+),TTF1(-)であった。消化管検索でも原発巣を示唆する明らかな異常は認められなかった。入院14日後,原発不明癌との診断にて,GEM+CDDP併用療法を開始したが,Grade3の血小板減少及び菌血症を来したため,2コース目は80%量に減量した。2コース治療後の評価にてPDとなり,2次治療としてCBDCA+PTX併用療法を施行するもPDとなった。3次治療としてTS-1単独療法と骨転移への姑息的放射線照射を開始するも左半身の違和感が出現し,脳MRIで多発脳転移,延髄転移を認め,全脳照射+延髄照射(30Gy/10fr)を施行した。その後も急速に全身状態が悪化し,治療開始147日目に永眠された。 本症例は治療前に末梢血循環腫瘍細胞(Circulating Tumor cells;CTC)が分離分析され,CTC数とその化学療法感受性、遺伝子発現プロファイル検査が施行された。CTCは12.7細胞/mlと著しく上昇,薬剤感受性試験ではプラチナ系で高い感受性が認められたが,その他のトポイソメラーゼI阻害剤、ダカルバジンなどの薬剤には低感受性であり,治療抵抗性因子MDR-1 mRNAの過剰発現が認められた。本症例では,感受性を示したCDDPを含む初回治療においても病勢コントロールが得られなかった。その原因の一つとして、MDR-1過剰発現の関与が疑われた。MDR-1 は,多種の薬剤と直接結合し,ATP加水分解に依存して細胞外排出を行う膜タンパク質P-gp(CD243)をコードする遺伝子である。CTCの数やMDRあるいはMRPのCTC上の発現が化学療法のresponseと相関があるとする報告が様々な癌腫でみられる。CTCのMDR-1過剰発現は,本例のプラチナ系を含む多種薬剤に対する治療抵抗性を示唆しているものと考えられた。

キーワード

臓器別:その他

手法別:化学療法

前へ戻る