演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

滑膜肉腫に対する化学療法の必要性の検討 ―患肢切断に至った2例から―

演題番号 : P30-10

[筆頭演者]
白井 寿治:1,2 
[共同演者]
寺内 竜:1、溝尻 直毅:1、土屋 弘行:2、久保 俊一:1

1:京都府立医大大学院 運動器機能再生外科学(整形外科)、2:金沢大学大学院 整形外科

 

【はじめに】滑膜肉腫は比較的稀な疾患であり,全軟部肉腫の5~10%に発生する.一般的に,治療には手術療法に加え,局所再発や遠隔転移を防止するために化学療法が行われている.イホスファミド(IFM)やドキソルビシン(DXR)を用いた化学療法で、局所有効率は約50%と比較的高率であることが報告されている.今回,IFMやDXRに加えカフェイン(CAF)を併用した化学療法を行ったにもかかわらず,局所有効性が得られず患肢切断に至った足部滑膜肉腫の2例を経験したので報告する.【症例1】28歳男性. 5ヵ月前頃から左足関節周辺に痛みを自覚し,近医を受診.MR画像で左距骨の骨腫瘍を指摘され,当院へ紹介受診となった.針生検で滑膜肉腫と診断した.骨腫瘍であることからシスプラチン(CDDP),DXR,CAFを用いた術前化学療法を3コース施行した.画像評価で化学療法の効果が無効であったことから抗がん薬を変更し,IFM,エトポシド(VP-16),CAFを用いて3コース追加治療行った.画像効果判定は不変であり,切除縁を縮小することは困難と考え,下腿切断術を施行した.術後は軟部腫瘍に準じてIFO,DXR,CAFを用いて3コース施行した.術後23ヵ月の現在CDFであり,義足で職場復帰している.【症例2】38歳女性.3ヵ月前頃から左足内側部の痛みを自覚し,1ヵ月前頃から腫れてきたため近医を受診後,腫瘍性病変が疑われたため当院へ紹介受診となった.MR画像では左足関節内果後方から遠位にかけて,辺縁不正なガドリニウムで造影される腫瘍を認めた.針生検で滑膜肉腫と診断した.術前にIFO,DXR,CAFを用いて3コース化学療法を施行した.画像効果判定は不変で患肢温存は難しく,本人の根治的切除希望もあり,下腿切断術を施行した.術後もIFO,DXR,CAFを用いて2コース施行した.術後16カ月の現在CDFであり,義足で復職している.【考察】化学療法後の縮小率は,いずれも10%程度と画像上は不変であったことから,手術は根治性を高めるために2例とも切断となった.また切除標本の組織学的効果は,症例1では壊死率5%以下,症例2では35%程度といずれも低い値であり,化学療法の効果が得られていないと判断できる.滑膜肉腫において,化学療法が生命予後へ影響を与えるのか一定の見解が得られていないことを考慮すると,滑膜肉腫においては切除のみ、もしくは新たなプロトコールや薬剤の開発が必要であると考えた.

キーワード

臓器別:骨軟部

手法別:化学療法

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