演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

術前化学療法にtrastuzumab, nab-paclitaxelを用いて完全奏効が得られた乳癌の1症例

演題番号 : P3-17

[筆頭演者]
石山 智敏:1 
[共同演者]
松本 秀一:1

1:山形県立新庄病院 外科

 

 【症例】52歳、女性。【主訴】右乳房腫瘤。【家族歴・既往歴】特記すべきことなし。【現病歴】2011年10月初めより、右乳房腫瘤を自覚。10月17日の検診において、視触診で右D領域の腫瘤を、マンモグラフィで両側の石灰化(いずれもカテゴリー3)を指摘され、当科を受診した。【受診時現症】右乳腺ABE領域に3.5X3.0cmの腫瘍を認めた。右腋窩にリンパ節腫脹を多数認め、同側鎖骨上リンパ節も触知した。【治療経過】針生検では乳頭腺管癌、ER(-)、PgR(-)、HER2(3+)、Ki-67 82%のHER2陽性のサブタイプと診断された。CT検査では右乳腺AB領域に3.2X2.0cmの腫瘤を認め、皮膚や大胸筋への浸潤は明らかでなかった。右腋窩や鎖骨上にリンパ節腫大が多発し、転移が疑われた。以上より、T2 N3c M0 StageIIICと診断された。化学療法としてtrastuzumab(Her)、nab-paclitaxel(nab-PTX)併用療法を行った。Herは初回4mg/kg、2回目以降は2mg/kgを毎週投与し、nab-PTXは100mg/m2を3週投与1週休薬とした。2クール終了後の検査で原発巣は腫瘤として同定できなくなり、腋窩・鎖骨上リンパ節も縮小した。10クール施行後には原発巣は消失し(CR)、リンパ節も小リンパ節が残存するのみ(PR)であった。2013年1月7日に胸筋温存乳房切除術+腋窩リンパ節郭清(Bt+Ax(II))を施行した。病理組織学的所見では原発巣・リンパ節ともに癌細胞は認められず、Grade 3(完全奏効)と診断された。術後、右胸壁・鎖骨上窩への放射線治療を行い、Herの単独投与(3週毎)を継続している。 
 本症例の経験から、Her+nab-PTX療法はHER2陽性乳癌に対する術前化学療法として有力な選択肢の一つと思われた。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:分子標的治療

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