演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

化学療法中に十二指腸潰瘍穿孔を合併したHER2陽性乳癌脳転移の1例

演題番号 : P3-13

[筆頭演者]
自見 政一郎:1 
[共同演者]
大畑 佳裕:1、塩崎 宏:2、島村 和男:3、鵜殿 弘貴:4、梁井 公輔:1、中山 宏道:1、亀井 隆史:1

1:JR九州病、2:国立病機構小倉医セ 放射線科、3:PCLジャパン、4:戸畑共立病 脳神経外科

 

乳癌脳転移は無治療では生存期間の平均が3か月程度と大変予後が不良である。今回、HER2陽性乳癌脳転移症例に対して集学的治療が有効であり、その経過中に十二指腸潰瘍穿孔を合併した症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告した。症例は50歳代女性。2009年8月に右乳癌に対して胸筋温存乳房切除腋窩郭清を施行された。病理では浸潤性乳管癌,硬癌で,T2N3M0 stage IIICであった。免疫染色ではER陰性、PgR陰性,HER2は3+陽性であった。2009年9月のCTで多発肝転移を認めた。TrastuzumabとPaclitaxelの併用療法を行ったところ肝転移は消失した。2011年1月に頭痛、嘔吐、四肢麻痺を出現し、CTで水頭症と多発脳転移を認めた。Trastuzumabを点滴投与しつつ、30Gy全脳照射を行ったところ、諸症状は軽快した。MRIで脳転移は縮小し、水頭症は改善した。内服可能となりLapatinibとCapecitabineの経口投与へ変更した。デカドロン1mg/日を内服し外来通院した。2011年9月上旬に腰痛が出現し圧迫骨折と診断され、ビスフォスフォネート製剤(Risedronate hydrate)、NSAID(Loxoprofen sodium hydrate)、活性型ビタミン(Calcitriol)の内服を開始した。9月下旬に腹痛が出現し入院した。CTにて消化管穿孔と診断され、開腹手術を受けた。十二指腸球部前壁が穿孔しており、大網充填・ドレナージ術を施行された。術後に血小板が7.5万に低下し、DICを併発したが、Thrombomodulin alphaを投与され軽快した。2011年11月に脳転移が再増大したが、サイバーナイフを施行したところ、縮小した。その後Trastuzumab+CMF、Trastuzumab+Gemcitabineを投与され、脳転移発症後2年4カ月の現在生存中である。本症例では経口抗癌剤に加えて、脳浮腫対策のためステロイドを使用し、腰痛に対してビスフォスフォネート製剤、NSAIDを使用した。乳癌脳転移症例は、胃十二指腸潰瘍のリスクとなる様々な薬剤を必要とする病態であり、プロトンポンプインヒビターを含めた潰瘍の予防が重要である。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:集学的治療

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