演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

緩和ケア病棟での介入によりQOLが向上し腫瘍マーカーが正常化した進行乳癌の経験

演題番号 : P3-9

[筆頭演者]
菊岡 修一:1 
[共同演者]
岡本 健一郎:1、横山 和彦:1、山川 雅子:1、鈴木 陽子:1

1:昭和大学横浜市北部病院 緩和医療科

 

癌性胸膜炎、多発骨転移、肝転移を伴う進行乳癌の女性に対し、緩和ケア病棟において薬物による苦痛緩和、精神科的介入、リハビリテーションといった集約的なアプローチを行い、苦痛症状のコントロール、日常生活動作(ADL)向上に加えて血液データ上CRP、腫瘍マーカーが正常化した症例を経験した。症例は50歳女性。15年前に乳癌ステージ2と診断され、乳房温存術を施行されるが、6年後に肺転移、骨転移が見られたため化学療法(CT )が開始され、CT中に肝転移も見られた。CTは約7年6ヶ月間継続されたが、効果不十分な上、呼吸困難が出現したため中止となり、経過観察となった。その後呼吸困難、胸部痛、四肢の硬直、不安感が悪化しコントロール不良となり、当院緩和ケア病棟へ入院となった。入院時主訴は癌性胸膜炎による呼吸困難、胸部痛、不安感と四肢硬直による寝たきり。ADLは全介助で座位、歩行、自力での食事摂取は困難であった。呼吸困難、胸部痛に対しては塩酸モルヒネ徐放錠20mg/日、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の内服に加えて入院後よりアセトアミノフェン2.4g/日、ベタメタゾン2mg/日を開始し、四肢硬直に対してはリハビリテーションを開始した。また、不安感に対して当院メンタルセンターによる介入も行われた。その後、呼吸困難、胸部痛は消失し、ADLは全介助から改善して入院後約6ヶ月後で歩行可能となり、入院後約8ヶ月で精神的な不安感の訴えも消失した。また、癌性胸膜炎、肝転移、骨転移についても入院後悪化はなく、CT終了後、約1年3ヶ月が経過している。血液データではCRPは正常化、腫瘍マーカー(CEA,CA15-3,BCA225,NCC-ST-439)も徐々に低下して現時点で正常化しており、現在退院調整中である。本症例では、血清アルブミン値は3.0g/dl以上が維持され、CRPも入院後より正常化している。このため、症状コントロール、リハビリテーションに加えて、栄養状態の維持とベタメタゾン、NSAIDsによる炎症反応の抑制が、1年以上にわたる患者のQOL向上、維持に影響を与えた可能性があると考えられた。また、これまでにモルヒネの抗炎症作用、抗腫瘍作用についての報告もみられており、本症例の経過に対して何らかの影響を与えた可能性も考えられた。今回はステロイド、NSAIDs、モルヒネの抗腫瘍効果に関する若干の文献的考察を加えて報告する。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:緩和医療

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