演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

ナブパクリタキセル投与により出血性膀胱炎を認めた一例

演題番号 : P3-5

[筆頭演者]
市岡 恵美香:1 
[共同演者]
井口 研子:2、水谷 理紗:1、古屋 舞:1、齋藤 剛:1、清松 裕子:2、池田 達彦:2、田中 優子:2、坂東 裕子:2、原 尚人:2

1:筑波大学附属病院乳腺甲状腺内分泌外科 、2:筑波大学医学医療系乳線内分泌外科学

 

ナブパクリタキセルはその薬剤特性により、従来のパクリタキセル製剤に溶媒として添加されているポリオキシエチレンヒマシ油と溶解のためのエタノールが不要であるため、ヒマシ油による過敏症を防ぐ目的の前投薬を必要とせず、アルコール過敏症の患者にも投与することができる。またパクリタキセルとの比較試験で奏効率の優越性が確認されている。これら利便性・有効性から、今後乳癌領域で広く使用されると考えられる。一方、有害事象として骨髄抑制・末梢神経障害が挙げられるが、今回我々はナブパクリタキセル使用により出血性膀胱炎を認めた非常に珍しい一例を経験したので報告する。症例は69歳女性。左乳房浸潤性乳管癌、cT2N1M0stageIIB(ER+,PgR+,HER2 0,NG 1)と診断される。既往歴:膀胱炎。特記事項:アルコールアレルギーあり。ナブパクリタキセル(150mg/m2 3週投与1週休薬を計3コース) followed by FEC療法による術前化学療法を行う方針となった。ナブパクリタキセル初回投与の翌日より尿失禁・肉眼的血尿・排尿時痛を認めたため、近医泌尿器科を受診。膀胱炎の診断にてセフカペンを内服したが、皮疹が出現したためクラリスロマイシンに変更して経過観察となった。2週目は125mg/m2に減量して投与し、ステロイド内服を併用した。その後も膀胱炎症状(肉眼的血尿・排尿時痛)が続いたため、レボフロキサシン等の抗生剤の内服治療を継続した。3週目投与後に排尿時痛の増悪を認めたため当院泌尿器科を受診した。膀胱鏡を行ったところ、粘膜の発赤・浮腫・出血が著明であり、重篤な出血性膀胱炎と診断された。尿細胞診等では明らかな悪性所見は認めなかった。膀胱洗浄および、ステロイド内服治療を行い、出血性膀胱炎は約2週間で軽快した。化学療法に伴う出血性膀胱炎はシクロホスファミド、イホスファミド、ブスルファンが以前から知られているが、タキサン系薬剤での出血性膀胱炎の報告はほぼ皆無である。ナブパクリタキセル使用成績調査(全例調査)での尿路障害では血尿2例・尿失禁1例認めているが、いずれもGrade1の副作用であった。ナブパクリタキセルによる出血性膀胱炎の報告は本症例が初と考えられる。今後、頻度は少ないが十分注意すべき有害事象となる可能性もあり、文献的考察も含めて検討する。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:化学療法

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