演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

意識障害を伴う急性播種性血管内凝固症候群を併発した乳癌の一例

演題番号 : P3-4

[筆頭演者]
萩原 純:1,2 
[共同演者]
平形 侑子:1、松井 哲:1、磯部 陽:1、松本 純夫:1

1:国立病院機構 東京医療センター 外科、2:日本医科大学付属病院 高度救命救急センター

 

【はじめに】固形癌に播種性血管内凝固症候群(DIC)が併発することはよく知られているが、そのうち乳癌に併発するケースは2%程度である。また、固形癌併発DICの多くは線溶均衡型のDICを呈し、出血症状や臓器障害がともに見られにくい。今回我々は、出血傾向を呈し、意識障害を伴った急性DICを併発した乳癌を経験した。【症例】53歳女性。某年12月、前医を受診し左乳癌(T4d N1 M0 cStage3b、浸潤性乳管癌、ER±、PgR-、HER2(0)、Ki-67:80%以上)と診断された。加療を勧められたが、多忙を理由に治療が開始されなかった。翌年1月末、繰り返す鼻出血を認めた。2月上旬、発熱と倦怠感で前医受診し、諸検査にてDICと診断された。感染のfocusは無く、血液疾患も否定的であり、未治療の乳癌がDICの原因と考えられた。その後の繰り返す鼻出血から血圧低下、意識障害が出現し、当院へ転院となった。【来院後経過】来院時、軽度の意識障害認めた。37度後半の発熱を認めるものの他のバイタルは安定。左乳房外側に計8cm大の皮膚の発赤を伴う腫瘍を認めた。また剣状突起の数cm尾側皮膚に径1cmの皮膚転移があった。急性期DIC診断基準でDICと診断(5点)。CTやMRIでは、明らかな脳・髄膜・肝・肺の転移を認めなかった。骨シンチでも骨転移は否定的であった。DICに対して、第1病日よりメシル酸ガベキサート、トロンボモデュリンアルファ製剤を投与開始。乳癌に対しては第2病日より酒石酸ビノレルビン、5-FU、ホリナートの投与を行った。意識障害は徐々に改善した。化学療法による骨髄抑制が生じ血小板の低下がみられたが、鼻出血は軽減した。上記化学療法を2コース行い、DICから離脱して、第39病日に退院した。外来にてパクリタキセルとベバシズマブ併用療法を4回行ったが、食欲不振出現し5月初旬に緊急入院。再入院4日目の採血でDICを認め、腫瘍崩壊症候群とDICの進行から6日目に永眠となった。【考察】本症例は、DICを併発したOncology Emergencyであり、抗癌剤治療により原疾患の病勢を抑えつつ、DIC治療を行ったケースである。線溶亢進型のDICであり、鼻出血などの出血傾向を示す一方で、意識障害の原因はCTやMRIで脳転移や髄膜転移は否定的であり、微小血栓形成による中枢神経の虚血による可能性が考えられた。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:集学的治療

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