演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

直腸・膀胱浸潤により直腸狭窄・両側水腎症を来した前立腺癌の1例

演題番号 : P29-1

[筆頭演者]
朝蔭 直樹:1 
[共同演者]
藤森 雅博:2

1:津田沼中央総合病院 外科、2:柏厚生総合病院 泌尿器科

 

直腸狭窄を来たす前立腺癌は稀で、長期予後は不良であり2年生存率は41.7%、再燃例は殆んど1年以内に死亡するとされる。今回我々は約9ヶ月間Combined Androgen blochade therapyが著効した、直腸・膀胱浸潤による直腸狭窄・両側水腎症をきたした前立腺癌の1例を経験したので報告する。症例は84歳、男性。主訴は黒色便。十二指腸潰瘍の診断で入院となった。腹部CT検査で両側水腎症、膀胱内腔に突出する腫瘤陰影と前立腺腫大及び直腸壁肥厚を認めた。直腸診ではAVから約2cmから口側に約6cmにわたる全周性狭窄を認めたが、粘膜面は保たれ潰瘍形成は認めなかった。尿細胞診はclass3、膀胱鏡検査で膀胱粘膜は正常、前立腺内尿道に腫瘍が多発していた。PSA 446.62ng/mlと著明に高値で、経肛門的直腸粘膜下組織細胞診で中分化腺癌を認めた。また骨シンチグラフィーで第3,12胸椎、左大腿骨頚部に集積を認めた。以上より膀胱・直腸浸潤・骨転移を伴うStage D2前立腺癌と診断しbicalutamide投与を開始した。しかし腎機能悪化、亜イレウス症状も出現したため、両側腎瘻造設術、S状結腸人工肛門造設術を行った。経人工肛門下部消化管内視鏡検査では直腸粘膜面は保たれており敷石状の隆起性変化を認めた。bicalutamide開始後、PSAは急速に低下し1ヶ月半後には正常化、leuprorelin acetateも併用しCombined Androgen blochade therapyを開始すると、直腸狭窄は改善し腎機能も正常化した。その後PSAも安定していたためbicalutamide中止(初診より6ヶ月後)、両側腎瘻チューブを抜去した。しかしbicalutamide中止3ヶ月後(初診より9ヶ月後)にPSAの再上昇傾向出現のため再開、さらにPSA上昇のためEstramustine phosphate sodium hydrate投与に切り替えた(初診より12ヶ月後)。しかし両下肢の著明な浮腫と全身掻痒感出現のためEstramustine phosphate sodium hydrateを中止、leuprorelin acetate単独投与とした(初診より15ヶ月後)がPSAは急上昇を示し始めた。docetaxel投与も検討したが断念、初診より24ヶ月後には骨転移による腰痛、歩行困難が出現、26ヶ月後に腎不全のため亡くなった。Combined Androgen blochade therapyにより著効期間は得られたものの、残念ながら予後の改善には至らなかった。

キーワード

臓器別:前立腺・男性生殖器

手法別:内分泌・ホルモン療法

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