演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

上部尿路上皮癌における新規血管新生制御因子Vasohibin-1発現の臨床的意義

演題番号 : P24-8

[筆頭演者]
宮崎 保匡:1,4 
[共同演者]
小坂 威雄:1、三上 修治:2、菊地 栄次:1、田中 伸之:1、前田 高宏:1、石田 勝:1、宮嶋 哲:1、中川 健:1、岡田 保典:2、佐藤 靖史:3、大家 基嗣:1

1:慶應義塾大学医学部 泌尿器科学教室、2:慶應義塾大学医学部 病理学教室、3:東北大学加齢医学研究所 腫瘍循環研究分野、4:荻窪病院 泌尿器科

 

【背景・目的】Vasohibin-1(VASH1)は、新生血管の発芽領域に存在する活性化した血管内皮細胞で特異的に発現する新規血管新生制御因子として同定され、癌の血管新生や進展に関与することが報告されてきているが、上部尿路上皮癌(Upper Urinary Tract Urothelial Carcinoma:UTUC)における発現の意義は未だ明らかになっていない。そこで本研究はUTUCにおける腫瘍内のVASH1発現の臨床的意義を検討した。【対象と方法】過去20年間の当院においてUTUCと診断され腎尿管全摘術を施行した 171例を研究対象とした。モノクローナル抗体を用いてVASH1の発現を免疫組織学的に評価し、臨床病理学的パラメータ(年齢、性別、腫瘍部位、grade、pT stage、脈管侵襲、補助化学療法)との関連を検討した。血管内皮細胞マーカーとしてCD34の発現もVASH1と同時に評価し、微小血管密度 (Microvessel density:MVD)との関連についても解析した。生存率はKaplan-Meier法により算出し、有意差の検定はLog-rank testを用いた。Coxの比例ハザードモデルを用いて多変量解析を行い、独立した危険因子を検討した。【結果】平均経過観察期間は3.8年で、観察期間中に42例(24.6%)に再発・転移を認め、34例(19.8%)に癌死を認めた。VASH1の発現は、正常組織では発現を認めなかったが、腫瘍組織の間質の血管内皮細胞に特異的に発現していた。VASH1は、High stage(p=0.028), High grade(p=0.003)の症例において有意に高い傾向を認め、MVDと有意に相関していた(Spearman’s correlation coefficient test:ρ=0.636,p<0.001)。単変量解析では、VASH1高発現群(5年無増悪生存率:5yPFS=66.1%, 5年癌特異的生存率:5yCSS=72.8%)は低発現群(5yPFS=81.0%:p=0.017, 5yCSS=86.5%:p=0.044)に比べて有意に予後不良であった。MVDも同様に評価したがVASH1とは異なり、grade(p=0.758)やstage(p=0.494)とは関連しなかった。また、単変量解析にてMVD高値群(5yPFS=68.2%, 5yCSS=73.6%)は低値群(5yPFS=76.8%:p=0.216, 5yCSS=74.9%:p=0.473)と比べて有意差は認めなかった。多変量解析では、VASH1の高発現は、再発・転移(p=0.024, HR=2.10)、癌死(p=0.031, HR=2.23)ともに独立した予後規定因子であった。【結論】VASH1の高発現は、UTUCにおいて予後規定因子であり、腫瘍における血管内皮細胞の異質性、血管新生の活性度を反映していると考えられ、UTUCの有用なバイオマーカーとなることが示唆された。

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:バイオマーカー

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