演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

ヒト子宮内膜癌におけるCRH発現と予後の関連

演題番号 : P22-3

[筆頭演者]
佐藤 菜保子:1 
[共同演者]
高木 清司:1、鈴木 貴:1、三木 康宏:1、割田 仁:1、福土 審:1、佐藤 冨美子:1、八重樫 伸生:1、伊藤 潔:1

1:東北大学大学院医学系研究科 (院)

 

目的:ストレス制御のkey moleculeであるcorticotropin-releasing hormone (CRH) は中枢神経以外にも、このレセプター群であるcorticotropin releasing hormone receptor 1/2 (CRHR1/2)とともに全身の主要臓器に発現する。しかしCRHの癌に対する作用は十分に明らかにされていない。そこで本研究では、子宮内膜癌におけるCRHおよびそのレセプターの発現と癌の生物学的悪性度との相関を検討した。
方法:類内膜型子宮内膜癌と診断され手術施行された87例 (年齢55.9±11歳, stage1~4) の摘出標本を用い、免疫組織学的検討によりCRH、CRHR1、CRHR2の発現を評価した。癌組織におけるCRH、CRHR1、CRHR2の発現割合をもとにそれぞれ陽性群・陰性群の2群に分類し、臨床病理および予後との相関を統計学的に分析した。
結果:CRH、CRHR1、CRHR2は癌細胞の細胞質に陽性となり、各々35.9%、17.6%、11.5%の症例が陽性であった。CRHの発現はCRHR1 (r=0.33, p<0.01)、CRHR2 (r=0.40, p<0.001) と正相関したが、CRHR1、CRHR2間では相関はみられなかった。Kaplan Meier法による生存分析の結果、PFS (progression-free survival) ではCRHR1陰性群と比較し陽性群は有意に不良であった (χ2=6.173, p=0.013)。CRHでは陰性群と比較し陽性群が悪く (χ2=2.700, p=0.100)、CRHR2では陰性群と比較し陽性群が良好な傾向がみられたが (χ2=1.770, p=0.183) 、いずれも有意な差はなかった。OS (over-all survival) ではCRHR1陰性群と比較し陽性群は有意に不良であった (χ2=7.703, p=0.006) が、CRH (χ2=0.474, p=0.491) やCRHR2 (χ2=1.172, p=0.279) では有意な差はみられなかった。
考察:CRHは主にCRHR1によってシグナル伝達がもたらされ作用することが知られているが、癌における発現の臨床的意義は不明である。先行研究では種々の癌においてCRHは血管新生に働くなどの機序で悪影響を及ぼすと報告があるほか、逆に保護の報告がある。本結果により、類内膜型子宮内膜癌におけるCRHR1の発現によるCRHの作用は生物学的予後に悪影響を及ぼす可能性が初めて明らかとなり、ストレス因子が内膜癌の増悪進展に関連していることが示唆された。

キーワード

臓器別:子宮

手法別:病理

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