演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

進行肝癌に対するソラフェニブの治療成績 -Conversionできた著効例の検討とあわせて-

演題番号 : P18-3

[筆頭演者]
居村 暁:1 
[共同演者]
島田 光生:1、宇都宮 徹:1、森根 裕二:1、池本 哲也:1、荒川 悠佑:1、金本 真美:1、岩橋 衆一:1、齋藤 裕:1、高須 千絵:1、山田 眞一郎:1、三宅 秀則:1

1:徳島大学 消化器・移植外科

 

背景:我々は切除不能肝癌に対して第一選択でソラフェニブを導入するようにしている。これまで切除不能と判断した肝癌29症例に対してソラフェニブの投与を行い、外科的治療が可能であれば積極的に導入してきた。今回この治療成績を検討するとともに、著効により肝切除し得たConversion症例について報告する。対象・方法:ソラフェニブ投与症例のうち投与後の効果判定できた25例を対象とした。導入時の投与量は400mg/日で開始し1週間後に通常量800mg/日に増量している。(検討1)ソラフェニブの治療効果と副作用、(検討2)ソラフェニブと外科的治療の併用が有用であった2症例に関して検討を行った。結果:(検討1)投与期間(中央値)は120日であり、副作用として手足症候群は44%に認められた。PR(率)は3例(12%)であり、著効し手術へconversionできた1例、肺門部転移リンパ節の消失を認めた1例、肝門部リンパ節縮小の1例であった。SDは10例(40%)であった。投与後累積生存率は12か月で55%であった。(検討2)症例1;60才代、男性、HBV (+)。肝右葉の巨大肝細胞癌に対してTACE後に肝右葉切除を施行するも術後肺転移及び肺門リンパ節転移が出現した。GEM+FP、IFN+TS1療法など施行するも効なく、ソラフェニブを投与し、肺転移・リンパ節転移は著明な縮小を認めた。投与開始29か月後に肝内再発を認め肝内側区域切除施行。その後もソラフェニブを継続しており現在術後6年4か月(ソラフェニブ開始から4年)生存中。症例2;50才代、男性、HBV(+)。腹部膨満感あり、CTで肝前区域を占める巨大HCC認め肝内転移を伴っていた。ソラフェニブ投与を開始から数ヶ月後には、AFP(前2308、後17ng/ml), PIVKAII(前23635、後577mAU/ml)は著減、画像上では主腫瘍の著明な縮小を認めた。このため投与開始から4ヶ月後に肝右葉切除を施行した。現在、術後6か月経過し再発は認めていない。結語:切除不能肝癌に対するソラフェニブの奏効率(PR)は12%であり、PR症例では切除不能から根治的肝切除へconversionできた症例を経験した。他治療後のソラフェニブ投与は肝機能的に困難な症例もあり、適切な導入時期の決定も重要である。

キーワード

臓器別:肝臓

手法別:分子標的治療

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