演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

大腸癌非治癒(根治度B,C)切除後生存例の検討

演題番号 : P17-11

[筆頭演者]
橋爪 正:1 
[共同演者]
小田切 理:1、小笠原 紘志:1、山田 恭吾:1、松浦 修:1、池永 照史郎一期:2、川嶋 啓明:2

1:むつ総合病 外科、2:青森市民病 外科

 

【目的】大腸癌非治癒切除後の生存例についてその特徴と治療上の問題点を検討した.【方法】過去20年間(1990-2009年)のm癌を除く初回腸切除1965例のうち根治度B 112例(31%),根治度C251例(69%)を対象に後向き検討を行った.この際,1990-1999年(前期)142例と新規抗腫瘍薬の併用療法を積極的に用いるようになった2000-2009年(後期)221例を相互に比較した.さらに同時期の治癒切除後再発例(前期129例,後期132例)との比較分析も行った.今回の検討には大腸癌取扱い規約の第7版を用いた.【結果】累積3年生存率は根治度B(前期43%,後期51%),根治度C(前期9%,後期31%),治癒切除後再発(前期54%,後期67%)であり,根治度Cと治癒切除後再発の成績は前期に比べて後期において有意に良好(p<0.05)であった.しかし,長期予後については根治度Bの83%(前期75%,後期88%),根治度Cの98%(前期97%,後期98%)が術後5年以内に死亡した.術後5年を越える生存者は非治癒切除全体の6.9%(25/363)である.生存期間中央値は根治度Bが28月(前期28月,後期27月),根治度Cが16月(前期16月,後期17月)であり時期による差は少ない.7年以上生存した15例のうち12例は健存中,3例は7年を過ぎてから癌死した.長期健存中の臨床的特徴あるいは治療法は症例により多彩であるが,局所の外科的制御と同時に長期間の集学的治療が可能であった例,原発巣のリンパ節転移陰性,非治癒因子が2因子以内,などは重要な要素と思われた.後期症例で化学療法による一定の延命効果の得られた例は前期より明らかに増加したが,化学療法のみによるCRは認められなかった.【結論】根治度B,治癒切除後再発例には集学的治療により長期生存を望める症例がある.一方,初回手術時根治度Cと判断された例の多くは著しい進行癌であり,術後に手術以外の治療法を付加しても長期予後は不良であった.治療の時期と内容の変更あるいは術前化学療法を導入する余地があるかもしれない.今後,外科医として1)これまで以上に患者家族の意志決定のプロセスを重視する,2)適正に手術以外の治療の適応を見極める,3)患者のQOL,ADLが確保出来る範囲内で確実な集学的治療を実施する鍛錬を積む,4)長期にわたる継続的な治療結果に対する検証を加えてゆく,などが喫緊の課題となる.

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:手術療法

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