演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

下部進行直腸癌に対する治療戦略

演題番号 : P17-8

[筆頭演者]
高橋 慶一:1 
[共同演者]
松本 寛:1、中野 大輔:1、中山 祐次郎:1、大日向 玲紀:1、矢島 和人:1、岩崎 善毅:1、本田 五郎:1、山口 達郎:1

1:がん・感染症センター 都立駒込病院 外科

 

【目的と方法】T3T4で腫瘍下縁が腹膜翻転部より肛門側にある進行下部直腸癌に対する標準治療は日本ではTME(total mesocolic excision)+側方郭清であるが、FOLFOXやFOLFIRIおよび分子標的薬が併用されるようになった現在、肝転移を有する進行下部直腸癌に対しては、原発巣の根治性をどの程度にすべきか、明確な治療方針は定まっていない。そこで2004年から2010年4月までに側方郭清を行った根治度Aの進行下部直腸癌217例(根治群)と同時期の肝転移を有するstage4下部進行直腸癌20例(肝転移群)を局所制御や予後から比較検討し、治療戦略について明らかにした。【結果と考察】郭清リンパ節総個数の平均は根治群:34.5個、肝転移群:31.5個で有意差はなかった。根治群の側方転移の頻度は19.4%で、側方リンパ節転移個数の平均は根治群:2.7個、肝転移群:3.3個で、肝転移群でやや多かった。局所再発率は根治群全体で13.8%(側方転移例:14.3%、側方転移陰性例:13.7%)、肝転移群全体で25.0%で肝転移群でやや多いが有意差はなかった(p=0.421)。肝転移群20例中10例に原発巣と同時または原発巣切除後に2期的に肝切除が行われ(同時肝切除群)、3例は原発巣切除後に、肝転移に対して全身化学療法であるBev+mFOLFOX6(Conversion群)施行後に肝切除が行われた症例であった。5年生存率は根治群の側方転移陰性例(N=176):84.0%、側方転移陽性例(N=42):51.1%で、側方転移陰性群が有意に(p<0.0001)予後は良好であった。一方肝転移群では同時肝切除群(N=10):67.5%、Conversion群(N=3):66.7%で、肝非切除(N=7):0%で肝切除例で予後は良好な傾向(p=0.080)であった。肝転移群での側方転移の程度と予後を比べると、側方転移陰性または1個のみ陽性症例(N=15)の5年生存率は49.2%、2個以上陽性症例(N=5)では20.0%であった(p=0.693)。根治群での全再発の頻度は35.5%で、遠隔転移は肺:18.9%、リンパ節:7.4%、肝:6.9%で肺転移が多かった。一方、肝転移群では、肝切除例13例の肝切除後の残肝再発は5例、肝外再発は7例(肺:7例、骨:1例、脾臓:1例)、局所再発:5例で、積極的な外科治療を導入しても高頻度に再発を認め、肝転移を有する下部直腸癌に対しても、側方郭清を行う下部直腸癌の手術を行うべきであるが、再発高危険群であり、周術期から再発予防の強力な化学療法の導入も考慮すべきである。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:手術療法

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