演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

腹水濾過濃縮再静注法(CART)における採取腹水量の検討

演題番号 : P11-3

[筆頭演者]
峯 孝志:1,2 
[共同演者]
寺崎 泰宏:1、牛島 知之:1、大塚 弘子:1、藤井 輝彦:1、永野 真美:1、田中 真由美:1、山名 秀明:1

1:久留米大 がん集学治療セ、2:長崎市立市民病 臨床腫瘍科

 

[目的]がん性腹水の貯留は腹膜播種患者において、QOLを著しく下げる要因の一つである。その症状緩和の手段として腹腔ドレナージが行われるが、安全に一度に採取腹水量は明らかでなく、大量の腹水排液は状態悪化が危惧される。今回、腹水濾過濃縮再静注法(CART)の有用性と安全な1回採取腹水量を検討する。[方法]2010年8月から2013年3月までに久留米大学病院がん集学治療センターにて、がん性腹水患者へCARTを施行した時の1回採取腹水量、前後の腹囲(臍高腹周囲長)、血清アルブミン量、自覚症状の改善、有害事象について検討した。濾過濃縮にはAHF-UP, AHF-MOWを用いた。[結果]21患者(胃癌13例、大腸癌5例、胆嚢癌1例、腹膜悪性中皮腫1例、原発不明癌1例)、総回数58回、平均回数2.8(最小-最大:1-12回)、1回採取腹水量平均5,625.8 mL(1,300-11,800 mL)、一回採取腹水/体重比平均87.3 mL/kg(17.7-170.5 mL/kg)、濃縮腹水再静注量平均692.2 mL(95-1,400 mL)、腹囲前後差平均7.91cm減(1.5cm増―17.8cm減)、血清アルブミン値前後差平均0.013 g/dL(増加26回:44.8%、減21回:36.2%、評価不能11回:20.0%)、主な有害事象(AE)は発熱24回:41.4%、気分不良・倦怠感4回:6.9%、悪寒3回:5.1%、腹痛2回:3.4%、腹水漏2回:3.4%であったが、いずれも軽微であった。脱水を伴っていた症例でCTCAE grade 1の血圧低下が1回認められた。この他、AST・ALT増加、総ビリルビン値増加、腸閉塞、貧血の進行が認められたが、現疾患進行に伴うものであった。重篤なAEは認めなかった。腹満感などの自覚症状は全例において軽快が得られ、日常生活動作が改善するものの、CARTのみによる下肢浮腫軽減効果やperformance status改善を得られるに至るものはなかった。[考察]CART時の腹水採取は終末期の脱水状態でなければ、比較的大量でも安全に施行可能である。しかし、腹水濾過濃縮を一度に大量に行うことは蛋白回収効率を落とす可能性が高い。症例の状況に応じた施行頻度などを計画すべきである。また、CARTの症状緩和効果は高く、有用であるが、より有効性を高めるには化学療法などのがん治療と併用することが望ましい。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:緩和医療

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