演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

癌細胞増殖抑制作用を有するリンパ球産生液性因子についての検討

演題番号 : P103-1

[筆頭演者]
川上 未有希:1,2 
[共同演者]
石川 博:3、鈴木 見奈子:1,2、大山 晃弘:3、中原 貴:4、田中 彰:1,5、又賀 泉:2

1:日本歯科大学 新潟生命歯学部 先端研究センター 再生医療学、2:日本歯科大学 新潟生命歯学部 口腔外科学講座、3:日本歯科大学 生命歯学部 NDU生命科学講座、4:日本歯科大学 生命歯学部 発生・再生医科学講座、5:日本歯科大学 新潟病院 口腔外科

 

【目的】癌細胞に対する特異的な免疫反応を強化することで、癌細胞の増殖抑制を図るという癌免疫療法の概念のもと、癌に対する第4の治療法として免疫細胞療法が注目され、一部では明らかな抗腫瘍効果が認められている。しかしまだ標準的治療として確立されたものは少なく、さらに頭頸部領域においてその検討は少ない。われわれは、同一患者の唾液腺癌から癌細胞株とリンパ球細胞株(Bリンパ球優位)を樹立し、癌細胞とリンパ球の相互作用とそれに関連する因子について検討を行った。【材料と方法】68歳女性の唾液腺癌組織より樹立した癌細胞株と同一癌組織由来のB細胞優位のリンパ球細胞株を用い、癌細胞とリンパ球の相互作用について両細胞株を非接触下にて共培養を行い検討した。また、リンパ球の液性因子について詳細に検索すべく、リンパ球細胞株のconditioned medium(以下CM)を限外濾過にて任意の分子量ごとに分画し、各分画を培養液(DMEM/F12+15%FBS)中にそれぞれ添加して癌細胞に対する増殖抑制効果を調べた。効果を認めた分子量群よりさらに因子を特定し、特定した因子単独でも癌細胞への増殖抑制効果があるか、in vitroにおける癌細胞増殖抑制の有無を検討した。【結果】癌細胞およびリンパ球の細胞株を非接触共培養したところ、リンパ球の増殖と癌細胞の増殖抑制を認めた。リンパ球のCMを限外濾過にて分子量分画し、各分画群を用いて癌細胞の培養を行ったところ、CM分子量分画群3群において著明に癌細胞の増殖が抑制されていた。さらに、癌細胞増殖抑制効果のあった分画群中に含まれる因子の特定を行い、特定した因子単独でも癌細胞の増殖抑制効果を有していることを確認した。【結論】癌細胞とリンパ球間の相互作用は液性因子のみで何らかの免疫応答が起こることが示唆された。リンパ球細胞株のCMに含まれる特定の液性因子は、癌細胞の増殖抑制に関与することが示唆された。今後、本研究における特定因子の抗腫瘍メカニズムの解明およびin vivoにおける解析等が課題であるが、第4の治療法である免疫細胞療法において、体内に直接細胞を投与する必要のない新たな免疫療法開発の可能性が期待でき、さらなる発展が望めると考えられる。

キーワード

臓器別:頭頸部

手法別:免疫療法

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