演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

低浸透圧刺激の消化器癌細胞における細胞破壊効果と生体内投与における安全性の検討

演題番号 : P101-3

[筆頭演者]
竹本 健一:1 
[共同演者]
塩崎 敦:1、市川 大輔:1、小松 周平:1、小西 博貴:1、村山 康利:1、栗生 宜明:1、生駒 久視:1、窪田 健:1、中西 正芳:1、藤原 斉:1、岡本 和真:1、阪倉 長平:1、丸中 良典:2、大辻 英吾:1

1:京都府立医科大学 消化器外科学、2:京都府立医科大学 細胞生理学

 

<目的>消化器癌の播種性転移・再発は極めて予後不良であり、新たな治療法が望まれる。今回、浸透圧を利用して消化器癌の体腔内遊離細胞を制御し、播種性転移・再発の新たな予防法とするため、蒸留水を用いて各消化器癌細胞(食道癌・胃癌・膵癌・大腸癌)の経時的形態変化・殺細胞効果を検討した。また低浸透圧下での細胞容積調節におけるクロライド輸送体機能に着目し、Cl-channel blockerを用いた殺細胞効果の増強を検討した。マウスを用いた動物実験により蒸留水腹腔内投与の安全性を検討した。<方法>食道癌細胞株(TE5,TE9,KYSE170)、胃癌細胞株(MKN28,MKN45,Kato-3)、膵癌細胞株(KP4-1、PK-1、PK45-H)、大腸癌細胞株(CACO2, HT-29, DLD-1)を用いて種々の低浸透圧処理後、ビデオ微分干渉顕微鏡システムによる形態変化、高分解能型自動細胞解析装置(Cell Lab Quanta) による経時的細胞容積変化を観察した。また低浸透圧処理後に再培養を行い一定時間経過後の細胞数測定により蒸留水の殺細胞効果を確認した。低浸透圧溶液(70~150mOsm)処理時にNPPB(Cl-channel blocker)を加え、細胞容積変化や殺細胞効果への影響を検討した。さらに蒸留水腹腔内投与の安全性確認のためBALB/cマウスで蒸留水投与群と生理食塩水投与群を作成し、3日間連日で2mlずつ各々蒸留水と生理食塩水を腹腔内投与し、day5, day7の生存と腹腔内所見を観察した。<結果>食道癌、胃癌、膵癌、大腸癌細胞株のいずれも細胞間差異はあるが、蒸留水処理後(0mOsm)5分以内に細胞容積の増大,破裂,小断片化を認めた。再培養実験では蒸留水処理時間に応じ殺細胞効果が増強した。いずれの細胞でも低浸透圧溶液(70~150mOsm)処理時に一旦増大した細胞容積が徐々に元の体積に戻る調節性容積減少(regulatory volume decrease: RVD)を認めたがNPPBによりRVDの抑制された。またNPPBを用いた再培養実験では低浸透圧殺細胞効果が増強した。マウスを用いた動物実験では蒸留水投与群と生理食塩水投与群ともday5, day7で全例生存し肉眼的な腹腔内所見にも差を認めなかった。<まとめ>消化器癌細胞株において、低浸透圧刺激による遊離癌細胞への殺細胞効果を確認した。さらにクロライド輸送体制御の利用により、低浸透圧細胞破壊効果の増強が証明された。今後、動物実験を含めた更なる研究を進め、細胞生理学的手法を応用した新たな播種性転移制御法の開発を目指す。

キーワード

臓器別:その他

手法別:局所療法

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