演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

緩和ケア病棟でのトルソー症候群3例の経験

演題番号 : P100-8

[筆頭演者]
福重 哲志:1 
[共同演者]
山田 信一:1、田上 望:1

1:久留米大学病院緩和ケアセンター

 

はじめに:トルソー症候群は悪性腫瘍に伴う血液凝固亢進により生じる様々な病態を含む。脳動脈・静脈血栓症による脳卒中をさす場合もあり,傍腫瘍性神経症候群の1つと考えられている。今回緩和ケア病棟で3例のトルソー症候群を経験したので報告する。症例1:58歳男性 Χ年3月近病院で右側腹部腫瘤の摘出術後腺癌の診断を受けた。当院呼吸器内科で肺腺癌,出血性胃転移の診断を受けGefinitibの投与を受けたが,5月22日多発性の脳梗塞を来たし治療継続は困難と判断され6月15日緩和ケア病棟入院となった。入院時軽度の構音障害とふらつきを認め,血液検査でヘモグロビン5.6g/dl,アルブミン1.04g/dlと低下していた。患者は6月30日の長男の結婚式出席を目標としていたためアルブミン補充と濃厚赤血球4単位の輸血を行った。出血性胃転移合併のため抗凝固療法は行わずに経過を見ていたところ,6月26日になり左上肢の不全麻痺が出現した。脳梗塞の再発を考えヘパリン15000単位/日で開始したが翌日タール便の出現を認めたため中止としカルバゾクロムスルホン酸Na水和物を開始した。6月29日ヘモグロビンが6.3g/dlに低下したため再度濃厚赤血球4単位の輸血を行い無事に結婚式に出席し父親としての役割を果たすことができた。その後脳梗塞が再発し7月11日に永眠した。症例2:20歳女性 Χ年11月頃から不正性器出血あり,婦人科で子宮頸癌ιν期の診断を受け,積極的な治療の適応はなく止血目的の放射線治療後退院した。Χ+1年1月25日貧血増強で婦人科入院し輸血,疼痛治療を受けていた。2月23日構音障害,右片麻痺出現,緊急MRIで脳梗塞の診断を受けた。3月2日緩和ケア病棟入院。3月6日痙攣発作あり意識レベル300となり3月25日に永眠された。症例3:78歳女性 Χ年11月PET検査で膵頭部腫瘍の診断を受け消化器内科に入院予定となったが12月5日右片麻痺で脳梗塞発症。原疾患に対する治療の適応なくΧ+1年1月2日緩和ケア病棟入院。入院時意識レベルは一桁であったが2月14日意識レベル300となり4月24日に永眠された。まとめ:末期癌患者には常にトルソー症候群を併発する可能性があり,ひとたび発生すると治療が困難になる場合も多く,急変に伴う家族の衝撃も大きい。緩和ケア担当者はトルソー症候群を熟知しておく必要がある。

キーワード

臓器別:その他

手法別:緩和医療

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