演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

胃癌浸潤・転移における補体の関与

演題番号 : P10-12

[筆頭演者]
新田 英利:1 
[共同演者]
今村 隆寿:2、中川 茂樹:1、黒木 秀幸:1、清水 健次:1、阿部 真也:1、今井 克憲:1、林 洋光:1、橋本 大輔:1、近本 亮:1、石河 隆敏:1、別府 透:1、馬場 秀夫:1

1:熊本大学病院 消化器外科、2:熊本大学 分子病理学

 

【背景】慢性炎症は癌の発生、増悪に深く関与している。慢性炎症部位で産生されるケモカインはその受容体を有する癌の浸潤、転移に重要な役割を果たしている。われわれは以前同様に炎症部位で産生され、ケモカインのように白血球刺激作用を有する補体C5aがその受容体C5aRを有する癌細胞の転移・浸潤能を亢進させることを胆管癌にて報告した。今回、C5aRの発現が高度であった胃癌においてC5aR発現の臨床的意義を明らかにすることを目的とした。【方法】2000年12月から2009年10月の間に、当科において前治療なしに切除を行った胃癌症例133例を対象とした。癌の最深部を含む切片においてC5aRの免疫染色を行い、癌細胞におけるC5aRの発現と臨床病理学的因子の関連について検討した。 【結果】1.C5aR発現は、高発現が37例(27.8%)であり低発現が96例(72.2%)であった。2.高発現群は低発現群にくらべ、高齢(≧74歳)、上部、深達度(pT3以深)、AJCC stage(III or IV)、脈管侵襲陽性が有意に多かった。3.stageIV (n=17)をのぞくstage I~III 116例において予後を検討したところ、5年無再発生存率は高発現群61.1%、低発現群で87.0%であり高発現群が有意に予後不良であった(p=0.017)。また5年生存率は高発現群で44.1%、低発現群は88.1%であり有意に予後不良であった(p=0.012)。4.遠隔転移について検討した結果、C5aR高発現群は低発現群にくらべ有意に遠隔転移が多く(p=0.011)、とくに肝転移が多かった(P=0.016)。胃癌肝転移切除例の肝転移巣でのC5aR発現を検討した結果、4例中3例(75%)が高発現であった。【まとめ】胃癌におけるC5aR発現は部位(上部)、静脈侵襲陽性、深達度、遠隔転移と関連を認め、高発現群は有意に予後不良であった。特に肝転移巣でC5aR発現率が高いことからC5aRは血行性転移に関与している可能性があった。この結果から、C5aR陽性胃癌症例に対してC5aRが治療の新たな分子標的となりうることが示唆された。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:バイオマーカー

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