演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

腹膜播種患者における腹腔内遊離癌細胞定量法の確立とバイオマーカーとしての意義

演題番号 : P10-7

[筆頭演者]
北山 丈二:1 
[共同演者]
江本 成伸:1、山口 博紀:1、石神 浩徳:1、亀井 隆雄:1、松崎 圭祐:3、山下 祐玄:2、瀬戸 泰之:2、渡邉 聡明:1

1:東京大学 腫瘍外科、2:東京大学 消化管外科、3:要町病院

 

【目的】腹腔内遊離癌細胞は腹膜播種の進展を考える上で重要な要素であり、Cytology (CY),CEA-mRNAなどを用いた検討がなされているが、施設間格差や定量性の不安定性が臨床的課題である。今回、癌性腹水/洗浄液中の癌細胞をFACSを用いて定量的に検出する方法を考案し、その臨床的有用性を検討した。【対象】2007~2013年までのP1胃癌110名より延べ132の腹水/洗浄液サンプル、および同時期に開腹手術を施行したP0の胃癌および大腸癌41例41サンプルを使用した。【方法】腹水は手術時ないしCART時に採取、腹腔洗浄液は開腹直後200ml生食注入後の回収液100mlを用いた。腹腔内化学療法(IP)施行中の患者では腹腔ポートより同様の方法で採取した。細胞成分を回収後、0.02%EDTA+PBSにて洗浄、Ficoll液による遠心分離の後、白血球をFITC標識抗CD45抗体、上皮系細胞をPE標識抗CD326 (EpCAM) 抗体にて二重染色し、個々の細胞における発現をFACSにて検討した。7AAD(+)死細胞を除く104個の細胞集団のうち、CD326(+)細胞を癌細胞と規定、CD45(+)/CD326(-)の白血球との細胞数比(tumor leukocyte ratio: TLR)を算出した。【結果】検査検体には固定標本で観察されるような細胞塊は見られず、clusterを作っていた大部分の細胞は前処置にてsingle cellに解離すると考えられた。P1症例におけるTLRの中央値(M)は4.85% (0-751.37%)で、P0例(M=0%, 0-2.15%)と比べて有意に高かった(p<0.001)。P0 41例中24例で0%、11例で0.1%以下であった。P1例のうちCY1 81例のTLRはCY0 51例よりも有意に高かった(M=2.51%, 0.03-751.37% vs. M=0.11%, 0-3.45%, p<0.0001)。ただし、P1CY1例のTLRは症例により大きな偏差があり、12例で100%以上を示した(癌細胞が白血球よりも多い)一方で、29例で1%以下であった。IP治療を施行した44例では、治療前のTLR>10%を示した10例のMSTは271日で、TLR<10% 34例の432日と比べて有意に予後が悪く(p<0.001)、同じCY1でも遊離癌細胞量に大きな違いがあり、TLR値が予後に大きく影響すると考えられた。また、IP施行例のうち、治療前後で測定できた18例全例でTLRは著明に低下、CYやCEA-mRNAよりも鋭敏な変化を示した。【結論】末梢血の循環癌細胞(CTC)の臨床的意義が注目されているが、FACSでのTLRの算定は「生きた」状態の腹腔内遊離癌細胞量を反映し、播種患者の予後、化学療法に対する効果を判定する上で信頼性の高いバイオマーカーとなると考えられた。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:バイオマーカー

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