演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

Thymidine Phosphorylaseの発現は胃癌の予後不良因子となりうるか?

演題番号 : P10-2

[筆頭演者]
足立 真一:1 
[共同演者]
平尾 隆文:1、福崎 孝幸:1、柴田 邦隆:1、大橋 寛嗣:2

1:市立池田病院 消化器外科、2:市立池田病院 病理診断科

 

【目的】Thymidine phosphorylase(TP)はピリミジン系ヌクレオシドを加リン酸分解する酵素の総称であり、腫瘍組織で高い活性を示しカペシタビンの前駆物質であるドキシフルリジンを5-FUに変換する酵素である。TPの発現はカペシタビンの抗腫瘍効果に相関する事が報告されている。また、TPは血管新生因子であるPD-ECGF(血小板由来内皮細胞増殖因子)と同一蛋白であり、固形癌の予後因子であると考えられている。腫瘍組織のTP発現は2011年に使用可能となった進行再発胃癌におけるカペシタビンの選択の一助となる可能性があるが、多くの報告はEnzyme-Linked ImmunoSorbent Assay(ELISA)法にてTPを測定している。今回我々はより簡便な免疫組織染色法(IHC)にてTPと予後の関連、TP発現強度と組織型の相関など日本人データを創出した。【対象】2005年1月~2006年12月までに当院で切除術を施行された胃癌患者111例の切除標本(ホルマリン固定組織)を抗TP抗体を用いてIHCを施行した。TPは低TP群(0/1+)と高TP群(2+/3+)の2群に分け、TP発現と臨床病理学的因子、予後との関連性を検討した。【結果】年齢76.0(43~99)、男/女:67/44例、Upper/Middle/Lower:20/55/36、肉眼型0/1/2/3/4/5:48/5/30/16/10/2、Differentiated/Undifferentiated:52/59、術後補助療法有/無:22/89。低TP群は78例(70.3%)、高TP群は33例(29.7%)であった。臨床病理学的因子との比較では、高TP群は腫瘍径・深達度・静脈侵襲・リンパ管侵襲・進行度が進展している傾向にあった。また予後解析では高TP群は全生存率(P=0.007)及び無増悪生存期間(p=0.006)において有意に予後不良であった。多変量解析では、TPが高発現する因子として腫瘍径、組織型、リンパ管侵襲が独立関連因子であった。【結語】胃癌におけるTP高発現は予後不良因子である事が示唆された。今後は更なる検討を行う必要があるが、TPは胃癌の化学療法を決定する上で重要なマーカーとなる可能性があると考えられる。今後TP陽性症例へのXP療法の検討を行いたい。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:バイオマーカー

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