演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

下咽頭癌・声門上癌に対する機能温存手術の最前線:経口的下咽頭喉頭部分切除術(TOVS)

演題番号 : OS9-1

[筆頭演者]
今西 順久:1 
[共同演者]
羽生 昇:1、佐藤 陽一郎:1、渡部 佳弘:1、関水 真理子:1、塩谷 彰浩:2、小川 郁:1

1:慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科頭頸部外科、2:防衛医科大学校耳鼻咽喉科学講座

 

[緒言]QOLを考慮した喉頭機能温存治療として,従来の頸部外切開アプローチに比べ低侵襲な経口的下咽頭喉頭部分切除術は,局所早期下咽頭癌・声門上癌に対する治療選択肢の柱の一つを築きつつある。従来の柱である放射線治療の制約を補完する役割も兼ね備える本治療法の現況と展望に言及する。[特色]本術式の基本的特徴は拡張式喉頭鏡および硬性内視鏡下に行う直達的手技にあり,顕微鏡下手術より広く直視的な視野とワーキングスペースを確保し,既存のストレートの鉗子・極細径電極・止血器具を用いる両手操作により腫瘍の一塊切除を実現する。適応対象は0-IIa/b/c(表面型)に含まれるTis病変から,従来の外切開部切術の対象であるT1-2および喉頭深部浸潤のないsize criteria(>40mm)のT3までと幅広く,高い汎用性を有する。[成績]2007年4月以降に当科で下咽頭・声門上癌に対し初回手術として本術式を施行した80例中,観察期間6ヶ月以上で,再手術例・後日外切開部切追加例・初診時M1例を除いた54例の治療成績は,内訳がTis/T1/T2/T3が8/17/23/6例, N0/N1/N2a/N2b/N2c/N3が27/8/1/14/3/1例,3年累積疾患特異的生存率88.7%,3年累積喉頭温存疾患特異的生存率81.8%である。[N因子からみた方針]本術式の適応条件は,基本的にはT因子(原発巣の部位・サイズ・深達度)から規定されるが,同時にN因子にも考慮が求められる。cN+例は全例頸部郭清を施行し,N2a以下,N2bのうち4例,N2cのうち1例は追加照射無しで全例頸部制御されている一方,残るN2b以上の例は後治療として基本50Gy(頸部は郭清側のみ)のCRTを追加した。N3の1例を除いて頸部制御は得られているものの,3例に遠隔転移を認め,N進行例に対する化学療法の重要性は他の治療方針と同等と考えられる。原発巣の病理組織学的所見(pT stage,深達度,最大水平径,最大垂直径,粘膜面からの深達距離,基底膜からの深達距離,分化度,リンパ管侵襲,血管侵襲)を説明変数とした多変量解析の結果,頸部リンパ節転移の独立相関因子は基底膜からの深達距離および分化度であり,cN0症例に対する予防的郭清を含めた術後方針の参照として重要である。[結び]本邦ではroboticsを用いずとも,本術式をはじめとして咽喉頭領域の経口的手術術式が確立されつつあるが,決してこれらも完成型ではなく,さらなる手術支援機器の性能向上に術者の手技的工夫を重ねることで,引き続き発展してゆくことが期待される。

キーワード

臓器別:頭頸部

手法別:手術療法

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