演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

「放射線治療医からみた」食道がん治療の最前線

演題番号 : OS7-5

[筆頭演者]
板坂 聡:1 

1:京都大学大学院医学研究科 放射線腫瘍学・画像応用治療学講座

 

食道癌に対する放射線治療は、食道温存しながら根治を目指せる治療、手術に比較して低侵襲な治療として発展してきた。しかしながら、化学放射線療法の経験が蓄積する中で放射線治療抵抗性の症例が一定割合でみられること、CR症例では難治性心嚢水や胸水などの晩期有害事象が無視できないことが明らかになってきている。手術は術前化学療法や鏡視下手術などの導入でそれぞれ治療成績の向上、手術侵襲の低減がみられており、内視鏡治療においてもESDの普及に伴い、適応範囲の拡大が試みられている。このような背景の下で、放射線治療のさらなる発展が模索されている。その中でも晩期有害事象の低減は重要なテーマである。正常組織への線量低減は有害事象を減らす上でもっとも重要なことであり、3次元放射線治療において多門照射による心臓線量低減が普及してきているところである。さらなる取り組みとして、総線量の低減をした上で遺残、再発に対しては積極的にサルベージ手術を組み合わせるという2段構えの治療方針による良好な成績が報告されており、第II相試験JCOG0909にて検証中である。また、集学的治療の中での放射線治療の役割についても新たな可能性が検討されている。その一つは術前治療としての化学放射線療法であり、第III相試験JCOG1109にて術前化学療法との比較が行われている。また、表在癌においてもリンパ節転移のリスクがある対象に対して内視鏡治療とリンパ節領域の予防照射のコンビネーションによる低侵襲治療が検討されており、JCOG0508の結果が待たれる。化学放射線療法における治療成績の向上の取り組みについては、頸部食道癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)を用いた化学放射線療法の多施設第II相試験が現在進行中であり、また併用化学療法の強化についても複数の施設で検討されている。それ以外にも個別化治療の試みとして遺伝子解析による治療前の症例選択や、あるいは治療途中のレスポンスにより最終的に化学放射線療法か、手術かを選択する方法も検討されている。 このように食道癌の治療成績の全体としての向上に向けてさまざまな手法で取り組んでいることについて放射線治療医の観点から報告する。

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