演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

食道癌に対する化学放射線療法の最近の進歩と今後

演題番号 : OS7-4

[筆頭演者]
加藤 健:1 
[共同演者]
沖田 南都子:1、高島 敦生:1、本間 義崇:1、岩佐 悟:1、濱口 哲弥:1、山田 康秀:1、島田 安博:1、伊藤 芳紀:2、伊丹 純:2

1:国立がん研究セ中央病院 消化管内科、2:国立がん研究セ中央病院 放射線治療科

 

 食道癌における化学放射線療法の役割は、術前化学放射線療法、根治的化学放射線療法、そして症状緩和のための緩和的化学放射線療法と多彩である。JCOG9907の結果により、術前化学療法Cisplatin+5-FU (CF)が標準治療となったが、海外では、CROSS試験の結果によって、術前化学放射線療法が標準治療とされた。海外とは、組織型や術式が異なるため、一概に外挿は難しいが、本邦で行われた術前化学放射線療法の安全性試験では、31例の患者が登録され、29例(93.5%)の患者にR0切除が行われた。病理学的完全奏効は42%と高い数字が示されたが、手術関連死亡を1例に認めた。現在術前CF療法に対して、術前CF+放射線療法、術前DCF療法を比較する JCOG1109_NExT試験が行われており、結果が期待される。 根治的化学放射線療法は1990年代より本邦で行われ始めた。JCOG9906試験では、完全奏効割合63%、5年生存割合37%と、非手術療法としては、良好な成績を示したが、遺残症例へのSalvage手術における高い手術関連死亡割合や、晩期毒性による死亡が問題となっていた。そのため、放射線線量をJCOG9906での60Gyより50.4Gyへ減量し、抗がん剤の投与量を増加したRTOGレジメンの第II相試験が行われ、奏効割合71%、5年生存割合54.8%、Grade3/4の晩期毒性の割合も5%程度と、従来の報告よりも良好な結果を示した。これに救済治療についての規定を含めた全体の戦略の成績をみるべく、JCOG0909試験が現在行われている。 食道癌の化学放射線療法において、分子標的治療薬は化学療法の可能性がより広がるものとして期待されている。食道癌と同じ扁平上皮癌である頭頸部がんでは、抗EGFR抗体であるCetuximabの放射線単独療法に対する上乗せ効果が示された。食道癌ではカペシタビンとシスプラチンに放射線を併用したレジメンにCetuximabをon/offするSCOPE1試験が行われたが、結果はCetuximabを併用したほうが、毒性が強くなり、有意に生存で下回るという結果であった。現在パクリタキセル+シスプラチン+放射線療法50.4Gyに対してCetuximabをon/offした第III相試験(RTOG0436)などにより化学放射線療法に対するCetuximabの上乗せ効果が検証されているが、結果が待たれるところである。 今後新薬と化学放射線療法との併用での開発が考えられるが、既存の治療との相性などを確認しつつ、開発を行っていく必要があると考えられている。

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