演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

食道がん治療の最前線

演題番号 : OS7-3

[筆頭演者]
能城 浩和:1 

1:佐賀大学医学部 一般・消化器外科

 

【はじめに】食道癌手術は高侵襲であるため術後合併症の軽減を目指して、低侵襲である鏡視下手術が普及しつつある。そのため標準治療の一部になるための様々な手技の工夫もなされている。腹臥位による食道手術はそのひとつである。本来、鏡視下手術により体壁の破壊を最小限にすることは術後の呼吸機能の温存や肺合併症の抑制を目的としてきたが、それのみならず拡大視効果がもたらす繊細な解剖認識は外科解剖の新しい知見をもたらし、それに基づく縦隔郭清手技あるいは神経脈管温存が可能になってきた。【目的】今回発表の要旨はこれまでに行ってきた鏡視下食道癌手術260例のなかでも2007年より行っている胸部操作に関して患者を腹臥位にして行う手術から得られた縦隔の微細臨床解剖に基づいた我々の手術手技をビデオを中心に供覧する。【方法】適応は基本的にはT3までとしている。我々の体位は右手を挙上した完全腹臥位で後腋窩線やや背側を中心に第9.7.5.3肋間に4ポートを挿入し、6 mmHgの気胸を併用する。One monitor法であるのでeye-hand coordinationも得やすい。右反回神経周囲郭清では右鎖骨下動脈の血管鞘を残すようにして、また大動脈と左鎖骨下動脈・左総頚動脈を包む血管鞘と左反回神経周囲リンパ節を含む脂肪組織および胸管の関係が重要と考える。さらに左反回周囲郭清の際では頚胸境界部でリンパ流や、大動脈弓下での左反回神経の反回部や左迷走神経の走行に注意した精緻な郭清が重要と考えている。食道裂孔周囲や下縦隔郭清では左側縦隔によりがちな食道を展開するのに本体位は良好な術野を得ることができ、左肺間膜や横隔膜脚の解剖に基づく郭清が可能である。【結果】これまでに腹臥位胸腔鏡食道切除術を90例(うちダビンチ手術4例)に行ってきた。平均胸部操作時間は4時間55分で出血量は50g、平均縦隔リンパ節個数は25個であった。【結語】鏡視下手術では拡大視効果による解剖認識と手技の工夫は安全で効率的な食道癌手術を可能にしている。腹臥位では術者の技量を要するが助手の展開に頼らず手術を遂行でき、食道癌手術で重要と思われる郭清部位の視野は良好でかつ操作性がよいのでリンパ節郭清の質は高いと考える。また多関節機能を有するロボットの使用は従来の鏡視下手術では関節機能が無く左上縦隔縦隔郭清に観点があったがその点が改善され将来有用になるとも考えられる。

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