演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

食道癌に対する内視鏡診断と内視鏡治療の最前線

演題番号 : OS7-2

[筆頭演者]
石原 立:1 

1:大阪府立成人病センター 消化管内科

 

食道癌は粘膜下層に浸潤するとしばしば転移を来し予後不良となるため、できるだけ早期に発見し治療する必要がある。最近は食道癌の発見にNBIなどのImage enhanced endoscopyが広く用いられているが、NBIは通常観察に比べ食道癌をより明瞭に描出できヨード染色に近い感度で癌の拾い上げが可能になっている。拾い上げた病変の質的診断は生検組織にて行われているが、画像強調機能や拡大機能の進歩により、内視鏡で生検に匹敵する診断精度が得られるようになってきた。さらにConfocal endoscopyのような超拡大内視鏡を用いれば、Real timeで細胞異型の評価ができる。このような機器の進歩により、いわゆるOptical biopsyの概念が近い将来臨床に導入できるものと考える。また深達度診断においては、有馬、井上の拡大内視鏡分類をベースに、よりシンプルな食道学会分類が作成された。本邦では拡大観察により高い深達度診断精度が報告されているが、海外では深達度診断の標準的モダリティーはEUSとされており、拡大内視鏡診断は必ずしも普及していない。今後は拡大内視鏡の診断精度をEUSと比較し、その有用性を確認する必要がある。食道癌の内視鏡治療はESDの開発により大きな進歩を遂げた。大きな病変の一括完全切除が可能となり、癌の遺残再発もほとんどみられなくなった。一方で周在の大きな病変を切除すると術後狭窄が必発で、時に患者のQOLを大きく低下させた。しかし最近はステロイドの経口投与や食道内への局所注入により、術後狭窄のリスクを大幅に低減できるようになった。今後欠損粘膜の再生に細胞シートが応用できるようになれば、術後狭窄が完全に予防できるようになるかもしれない。このような進歩によりリンパ節転移の可能性が低い食道癌の多くには内視鏡治療で良好な予後が期待できるようになった。一方でリンパ節転移のリスクがある粘膜下層癌にはこれまで外科切除が主に行われてきたが、外科手術の生体に対する侵襲は非常に大きい。そこで、食道粘膜下層癌をESDで切除し食道周囲のリンパ節に化学放射線療法(CRT)を行うESD-CRTが、食道癌に対する臓器温存治療として行われ、その有用性はJCOG0508試験で検討されている。内視鏡治療は低侵襲で局所根治性に優れた治療であるが、その適応をさらに拡大していくためには微小転移診断法の確立や内視鏡治療と他治療を組み合わせた集学的治療を開発する必要がある。

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