演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

進行・再発乳がんに対する内分泌療法の最新情報

演題番号 : OS6-5

[筆頭演者]
岩瀬 弘敬:1 
[共同演者]
山本 豊:2

1:熊本大学 乳腺・内分泌外科、2:熊本大学付属病院 乳癌分子標的治療学

 

進行・再発乳がんは完治が困難であることを考慮に入れると、その治療戦略の本質は生活の質を落とさない延命である。内分泌療法はcytostaticな作用が主であり、有害事象の程度は軽く、原発巣もしくは再発巣でエストロゲンレセプター(ER)が陽性であり、生命に直ちに関わらない場合には、同療法から開始し、単剤逐次投与法が有用とされている。 現在わが国で使用できる内分泌療法は、1)ERの機能抑制として、選択的ER機能調整物質 (SERM) であるタモキシフェン、トレミフェン、およびアゴニスト作用を持たないフルベストラント、2)エストロゲンの合成阻害として、閉経後には第三世代アロマターゼ阻害薬 (AI) であるアナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、閉経前にはLH-RHアゴニストであるゴセレリン、リュープロレリンが用いられている。さらにホルモン付加療法として酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)の大量投与、エストロゲン大量療法として用いられていたエチニルエストラジールなどである。 第三世代のアロマターゼ阻害薬は、これまでの主役であったタモキシフェンにとって代わり、閉経後ホルモン依存性乳癌における標準的内分泌療法であるが、進行・再発乳がんではこの耐性が問題となる。フルベストラントはERの二量体形成を防ぎ、その分解を促進することで、SERMやAIの耐性例にも効果が期待できる。一方、MPAやエストロゲンはその作用機序に不明な点があるが、長期間エストロゲン枯渇が引き起こす耐性の克服としてのエストロゲンの意義は再認識が必要である。この応用は、AI前処置よるエストロゲン療法の増感効果、あるいはエストロゲン前処置によるAIやフルベストラントの効果増強も考えられる。 さらに、ホルモン療法との併用が期待できる薬剤としてHER2陽性ER陽性乳癌に対するトラスツズマブ、HER1/2の細胞内チロシンキナーゼ阻害薬であるラパチニブ、PI3K/Akt経路を阻害するmTOR阻害薬 (everoli)、細胞回転に影響するCDK4/6 inhibitorなどが挙げられ、ホルモン耐性克服の新しい展開として評価できる。

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